新しいエビデンスで明らかになる!うがい薬で”あの病気”のリスクが増える!?②
本記事はシリーズ「新しいエビデンスで明らかになる!うがい薬で”あの病気”のリスクが増える!?」の一部として書いてます。うがい薬の総合的な評価・結論だけ知りたい人はシリーズ最後の記事を見て下さい。
>最後の記事
うがい薬を適正に使用すれば、プラークを減らしたり、歯肉炎を抑える効果がありそうだ!
(これを言うために、何文字使ったんだ前回w)
うがい薬は効きそうだなぁと思って、私も多少使っていたんですけど、
衝撃的な論文が、2017年に発表されました。
Over-the-counter mouthwash use and risk of pre-diabetes/diabetes
というタイトルです。日本語訳すると
市販のうがい薬と前糖尿病/糖尿病のリスク
ってところでしょうか。
はやくもタイトルの伏線回収おわりましたw
この論文の結論は次のようになります。
3年間調査したところ、1日に2回以上洗口剤を使用した人は、頻度が少なかった人に比べて、前糖尿病あるいは糖尿病のリスクが55%増加しました。
マジっすか!!ヤヴァイじゃないっすか!!
まぁ落ち着きなさい。
では内容を見ていきましょう。
この研究の目的は?
「毎日うがい薬を使用した時の長期間の悪影響は調べられてません。この研究の目的はうがい薬の長期使用と、前糖尿病/糖尿病の関係を調べることです」
なるほど、たしかに、長期的な悪影響って調べてる話見たことないなぁ~。
研究の方法は?
①40〜65歳 で
②糖尿病や主要な循環器疾患のない人 で
③太りすぎ/肥満の人 を
④945人を対象に
⑤年齢・性別・喫煙・身体活動・胸囲・アルコール消費・高血圧前症/高血圧状態が影響しないように調整して、(ポアソン回帰)分析しました。
なんだよ~もとから太り過ぎの人が対象なのかよ~脅かすなよ~
はっ!・・・私も対象だ!!
一応気になる人もいると思うので、前糖尿病の定義はこの論文では次のようになってました。
空腹時血糖:100〜126 mg / dl and 食後血糖(2h):140〜200 mg / dl
OR
HbA1c:5.7〜6
ポアソン回帰分析・・・なんか謎の単語が書いてありますが、そんな分析方法があるってくらいに思っていただければと思います。語れば長くなります!すごいんですよ!この分析!!マーケティングの分析やろうと思ったら、必須やと思うんですよねぇ。そのうち記事にできればと思いますw
そんな実験をやって、結論が
3年間調査したところ、1日に2回以上洗口剤を使用した人は、頻度が少なかった人に比べて、前糖尿病あるいは糖尿病のリスクが55%増加しました。
となったんですね。
この研究、エビデンスレベル2bなんで、決定的って感じでもないですが、最近(2020年現在)似たような研究が結構出ているので、今後の研究結果が楽しみですね。2019年のレビュー論文(エビデンスレベル1b)の結論でも、今後の研究待望!となっています。
Do Changes in Oral Microbiota Correlate With Plasma Nitrite Response? A Systematic Review
今後の研究が出るのは楽しみなのですが、現状はあるだけの情報で
↑え!?ちょっと待って??なんで糖尿病のリスク上がるかは説明してくれないの!?
と言う方のために、もう少しだけ。
ただここから先は研究者による推測によるもので、詳しいメカニズムが分かっているわけではないです。
ので、気にならない人は読まなくても大丈夫w
そもそも、この研究が発表された雑誌(論文は雑誌掲載という形で、世に広まります。有名な雑誌は『Nature』『Cell』『Science』などです。漫画界で言えば、『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』って感じです。どれがどれかは深く考えてないです。)は歯科の雑誌ではなく、糖尿病の雑誌でもなく、
『Nitric Oxide(一酸化窒素)』という雑誌なんですね!
なんて、マニアックな雑誌があるんだ!と初めてみたときは驚きましたw
それで、一酸化窒素っていうのは、体の中で色んな働きをしています。
①免疫防御、
②粘膜血流と粘液産生の調節、
③平滑筋収縮の調節、
④脳血流、
⑤グルコース調節、
⑥ミトコンドリア機能
など、だそうです。うがい薬から糖尿病までの流れは、次のように推測されてます。
①うがい薬で口の中の細菌が死にすぎる
↓
②細菌が出す一酸化窒素が減る
↓
③人に入っていく一酸化窒素の量も減る
↓
④一酸化窒素は色々な役割をしているので、
↓
⑤色々おかしくなって
↓
⑥前糖尿病/糖尿病
なんじゃないかなぁ~って言われてます。
最近『腸活』とかって流行ってますよね?それと似てます!!
口の中の善玉菌までやっつけちゃうと、体に異常が出て、糖尿病とかになりやすくなるかも。。。
とまとめることも出来ると思います。
「腸活」「腸活」って日本語が流行ってますけど、
(下図、ここ10年間における「腸活」のトレンド)
実はこれ、科学者は10年前にすごく脚光を浴びたんですよ。
先程ちらっとだけ話をした、超一流の『Science』って雑誌に
「2010年、ここ10年での科学の10大成果!!」
の中に「microbiome(マイクロバイオーム)!!」って載ったんですよ。この「マイクロバイオーム」がまさに「腸活」のことなんです。
正確には、「マイクロバイオーム」=「人と共に生きる細菌の集まり」くらいの意味なんですが、その”細菌達”(たとえば”腸内細菌”)の役割を甘く見すぎてたぜ~~~~!!!!って話なんです。
(研究内容って10年遅れて、世の中のブームになるってザラにあるなぁ)
10年前と侮るなかれ!この「腸活」って名前は変わるかもしれませんが、これからもまだまだ流行りますよ!(予言)
なんせ「マイクロバイオーム」は世界的にどんどん盛り上がってますからね!
(下図、ここ10年間の「microbiome」のトレンド)
まぁそんなトレンドの研究結果の一つってことですね!
意外と長くなっちゃいましたね。
では次回は、
総まとめして、「結局、どうしたらいい?」って疑問に答えようと思います!
ではまた!
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