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中園孔二個展「すべての面がこっちを向いている」

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中園孔二個展「すべての面がこっちを向いている」3Dアーカイブ&フォトレポート公開

中園孔二個展「すべての面がこっちを向いている」</strong>
2021年4月24日(土)ー 5月23日(日)
ANB Tokyo 3F&4F
展覧会詳細

多くの反響をいただいた中園孔二個展「すべての面がこっちを向いている」のフォトレポート、そして展示会場の全容をおさめた3Dアーカイブを公開いたします。

本展を見逃してしまった方、もう一度気になる作品をご覧になりたい方スマホやPCから、会場を

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中園さんの絵の前に立って。

三沢厚彦(彫刻家)

中園さんの絵の前に立って。
絵がどんどん動いていく、さあ、次に行こう、、やばいよ、やばい、、、何かに引き込まれる感覚をいつも感じてる、、絵の良し悪しを考える前に、、筆が走るんだ、、、絵の具も意思を持って自らキャンパスに蠢いていく、、、あ、この感じ?、、あっという間に時間が過ぎる、、、夜が明けるまで身を任せようか、、もう恐怖は感じない、、、一つの塊になった。

中園さんの絵の前

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中園さんの作品を初めてみたのは中園さんの大学卒業制作でした。

(山口つばさ|漫画家)

中園さんの作品を初めてみたのは中園さんの大学卒業制作でした。
「飾らないことによって露出する狂気」という言い方が適切かどうかわかりませんが、私はそういった作品に誠意を感じますし、単純に好きですし、自分もそうでありたいと思わされます。
そういう作品は画集で見ると怖さが前に出てくるんですが、実際にみると優しさのようなものを感じることがあり、中園さんの作品も例に漏れずそういった

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すべての面とのあいだにある厚み

(西澤徹夫|建築家)

自分にとってすべての面がこっちを向いているだけではなく、他の誰かにとってもすべての面がその人に向いている状態にあるということの確かさ。僕たちがモノを見たり触ったりすると同時に、モノたちも他の誰かを見返したり触り返したりしているということの確かさ。

絵画や建築が僕たちのさまざまな感覚の媒介となっていくことによって、なにか僕たちの営みのようなもの全体、見たり触れたりしたことの

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明るいけど暗い

(真心ブラザーズ YO-KING|ミュージシャン)

明るいけど暗い
うるさいけど静か
満腹だけど飢餓
 
60年代のストーンズのような
澄みきった鶏のスープのような
湿度のあるサウナのような

ことを思いました。

無垢で複雑な「なにか」に会いたくて

(村田沙耶香|小説家)

 最初に中園孔二さんの絵を知ったのは、東京都現代美術館のコレクションに行った編集さんが、「すごい! 村田さんは絶対好きだと思う!」とメッセージをくださったときでした。そのときの印象は、「はっとするほど鮮やかで、それなのに複雑に絡みあう不思議な色彩だな、すこし怖いけれどかわいい、愛おしい」という、なんだか、無垢な感情しか生まれてこなくて、それがこの絵の力であるという気持ちで

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再び初めまして、中園さん。

(黒沢聖覇|タイランドビエンナーレ・コラート2021コ・キュレーター、東京藝術大学)

 ANB Tokyoで開催中の中園孔二展について執筆依頼をいただいた。わたしはこれまでモスクワビエンナーレを含む国内外の展覧会における中園作品の展示、キュレーションに関わり、自身の修士論文でも中園孔二の批評的文脈を確立するべく尽力した。また幸いなことにそれ以降様々な機会をいただき、何度も中園作品について、文章を

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中園孔二さんの絵が好きです。

(ハナレグミ 永積 崇|ミュージシャン)

中園孔二さんの絵が好きです。
見ていると頭を通過する前に笑いがこみ上げてしまう。
なんでだろうな?
友達の痛快なアイデアや物語を聞かせてるもらってるような気分なのかな?
どんな描き方なのか僕にはわからないけど
どの絵も走りながら書いてるみたいに見える。
書いてる側から次もその次もそのまた次も浮かんじゃって
やべ!俺天才じゃーん!?なんて言ってたんじゃない

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久しぶりに中園孔二の個展を見た。

(堀 元彰|東京オペラシティアートギャラリー チーフ・キュレーター)

久しぶりに中園孔二の個展を見た。率直に感じたままを言葉にしようとすると、どうにも月並みな言い方になってしまうのだが、彼がまだ元気に制作を続けている、そんな錯覚を覚えずにはいなかった。

こんなに描きためていたのかと思うほどの、ほとんど未発表の作品群。一目で中園作品とわかる、見覚えのあるキャラクター風のモティーフや表現描写には違

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この文章は「批評」ではない。

(山本浩貴|金沢美術工芸大学 講師)

最初に明言しておきたいことがある。この文章は「批評」ではない。なぜか。僕が「批評」の執筆を頼まれたときに使用したことのない語彙が、これから書く文章には含まれているに違いないからだ。僕には中園孔二の作品を「批評」することはできない。では、この文章は何か。そう問われれば、おそらくは「感想」ということになるだろう。より適切な言い方をすれば、「降参宣言」に近いかもし

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彼が赴いたように

(石川 卓磨|美術家、美術批評家)

 わたしが中園孔二を知ったのは、彼が亡くなってからだった。わたしは何年ものあいだ彼の作品に出会い損ねていた。そして、今回初めてまともな形で出会えたように思えた。

 中園は赴くことを好んだ。彼は、インタビュー映像の中で渋谷や新宿などの不快感を感じるような“キタナイ”場所に行きたくなると話していた。そして、美術館などの“キレイ”な場所や森も好きであり、この三つの

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中園孔二「すべての面がこっちを向いている」〜高速回転の渦の中〜

(川島秀明|画家)

中園くんを知ったのは、2013年、小山登美夫ギャラリーでの初個展でした。
当時僕はベルリンに滞在していて、直に展示を観る事はできませんでしたが、iPadの画面からも何か収まり切らない勢いを感じ、「どんな人なんだろう」と遠くから想像を膨らませていました。

初めて直に観られたのは、翌年の 8 /ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery での個展。
展示

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私は彼に会ったことがない。

(桝田倫広|東京国立近代美術館 主任研究員)

私は彼に会ったことがない。だから作品についてはともかくとして、彼の生き様に触れるようなことは言えない。それでも、彼の小品やドローイングを見ていると、どうしても思ってしまう。2021年の彼の新作が見たい、と。もちろん、すでにつくられた作品だって、いくらでも新鮮な眼差しで捉えることができる。そして未知の発見に驚き、喜ぶ。絵画は動いているのだ。でもそういう

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