すたれ言葉の世界 なん中華 本中華

 『本中華』という商品名のインスタントラーメンが、大昔、販売された頃に某有名人がコマーシャルに出てました。〇〇県〇〇市〇〇区に住む大畑さん(仮名)は自分を某有名人と同一人物だと主張して、普段から有名人として振る舞っていました。
「ウッシシ、俺が神から選ばれた人間だ。俺は何てったってテレビ出てるんだから、〇〇〇と友達だし、俺になついてる三流有名人だって大勢いるんだぞ?!ウッシッシ」 
 大畑さんは地元の商店街を歩きがてら有名人ヅラをして馴れ馴れしい態度でみんなに話しかけます。ところが、誰も言葉を返さず、大畑さんは少し驚いて「俺を知らないの?みんな、テレビ見てない田舎者だね、ウッシシ、ウッシー」と冷や汗をたらして作り笑顔を浮かべました。
「オイ、俺と写真撮れよ。遠慮しなくてもいいんだぜ、ウッシッシ」 
 大畑さんが嫌がる住民に対して無理やり肩を組み、「ウッシシ、俺は有名人で、偉い人なんだ。君達はもっと喜ぶべきだよ。ウシシシシ」と笑いかけて、マジックを握り、住民の着ている服にサインを書き始めたのです。
『みじかびの きゃぷりきとれば すぎちょびれ やれかきすらの はつぱのにのに』と書き、「ウッシー!」と嬉しそうに笑い、住民が怒ると、
「ウッシシ、オイオイ、俺を誰だと思ってるんだ、俺は有名人だぞ?お前らは何者でもない無名人の分際で、何なんだ!!テレビ見ろよ!!なーんて言っちゃったりして!ウシシシッ!俺のペースに合わせろよ」
 そう言って住民を羽交い締めにすると、笑いながら「ウシシ、嫌だなー、何故こんな人生歩んでるの、俺は駄目な奴だ」と嗚咽をもらし、泣き崩れたのです。
 ウシシ笑いは、なんと泣き声でした。大畑さんは単なる暗い人だったので、有名人のフリをして自分を守らなければならなかったのです。、
 

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