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喪失感はいかほどか

リハビリテーションの話。
特に医療施設でのリハビリテーション。

リハビリ入院をする患者さんたちの喪失感はいかほどか。


病気やけがで短くても1か月、長くて半年を超える入院をする。
時間的・経済的な影響もることながら、心理的な影響が当然ある。

僕ら専門職は養成課程で習う。
「患者さんの心理状態はリハビリの進捗に影響する」
「だから、患者さんとの関係性を築きながら、身体機能だけでなく心理面も考慮した関わりが重要」
と。


高齢の方がほとんどだが、40代・50代、もっと若い方も入院されることがある。年齢に依って心への影響の程度は違うだろうし、性差や社会的立場にも依るかも知れない。

時代的な価値観で言うと、70代~80代以上の方は特に、性差で判断される傾向が、会話の中で垣間見えることがある。

「わたし女やからよかったけど、男の人やったら大変やね」
「男の人は気ままなもんやけど、わたしは帰ったらまた家のことせなあかんからね…」

これらは高齢の女性患者さんが自分でいうセリフ。

ちなみに男性患者さんのセリフはあまり僕の頭の中にノミネートしない。
男性患者さんは女性患者さんに比べて会話量が少ない(のと僕自身がそもそも口数少ないから会話にならない)のが要因の一つ。

いずれにしても、何らかの身体障害を負った人たちは物理的にも心理的にもマイナスの影響を受ける。

皆各々に現役時代があった。治療やリハビリがうまく進んで社会復帰する人もおるけど、大なり小なり人生が変わる。大病やけがで人生が変わる。これは大変な事だ。

タイトルに「喪失感」とくくったけど、実はあまり適切ではないとも思っている。プラスかマイナスかで言うとマイナスだが、「喪失」というのは医療者側が勝手に意味付けた主観だ。

今までバリバリ現役で働いていた人が障害を負って、社会的・家庭的な役割が一気に変化するのを、傍目に見て「喪失」と評するのは簡単。

でも当人にとっては「喪失」という言葉では表しきれないそれ以上の何かかも知れないし、逆にさほど深刻ではなかったり、むしろすぐに気持ちを切り替えて前向きになっているかも知れない。

そんな多様な患者像を「喪失」と括ってしまうのは短絡的だし、専門職としての詰めが甘い。結果的に
、信頼関係を築きにくかったりする。

担当患者さんに初めて接するとき、どんな心理状態にあるかを想像はするけど、評価が過大・過小にならないよう医療者はフラットでありたい。


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