見出し画像

何もないところへの一礼

ある会場での一幕。

僕は客席から舞台を見ている。
登壇者が舞台に上がってまず、舞台中央後方の、その日のイベントタイトルを表したパネルに向かって、一礼をした。

ん?

って思った。

同じような体験は過去にも何度かしている。
会場や団体やイベントの内容を問わず、舞台中央後方のただのパネルに向かって一礼をする登壇者がいれば、しない登壇者もいる。

どうやらイベントで統一した規定があるわけではないらしい。

一方で、登壇者が必ず一礼をするイベントがある。
パネルではなく日の丸が掲げられているイベントでは、登壇者は一様に、壇上に上がってまず一礼する。

まぁ、理解できる。
共感はしないけど理解はした。
薄々そうだろうとは思ってたけど、やっぱりそうだということは理解した。
共感はしていないけど理解はしている。



慣習・慣例は大事だ。まったく今の僕個人のことだけで言うと、慣習・慣例のおかげで生きられている側面は大いにある。馬鹿にはできない。
しかし僕は新しい世界に行きたいと思っているふしがある。そのためには、「おかげさまです」とすがってきた慣習・慣例に別れを告げなければいけない時があるとも考えている。

その文脈の中で、

ん?

と思うことに出くわした。


日の丸に限らず、国旗が掲揚されていたら好きにすればいい。
何かに敬意を表することは悪ではない。

でもパネルに一礼するのは何か滑稽だな。


仮にその一礼した登壇者が本気でパネルに敬意を表しているなら好きにすればいい。
でも、もし慣例で一礼しているのであれば、その人は一礼の本質を何も分かっていないことになる。思考停止している。


断っておくが、僕は必要な敬意は必要に応じて積極的に表するほうだ。


「パネルに一礼」とは言ったものの、実質、何もない。
だいたいが、舞台を伴うイベントでは正面にパネルがあるから「パネル」としたけど、実質何もないに等しい。


いったい何に対しての礼だろう

…ホラーか?