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わたしは子どもがほしくない。

夫は子どもが好きだ。
私は子どもが嫌いだ。
この二人が夫婦になってしまったから、話し合わないといけないときがやってくる。

夫の友人や会社の同期は出産ラッシュらしい。
少し前に結婚ラッシュがあったから、自然の流れなんだと思う。
かくいう私も、つい先日、会社の後輩から妊娠を告げられた。

私は子どもをもちたいと思ったことがない。
何を言っているかわからないから。どう向き合っていいかわからないから。
その辺で見かける子どもをかわいいと思ったこともない。

家事も嫌いだ。
今の夫と二人の生活を維持するだけで、私はいっぱいいっぱいだ。
週末にはクタクタで、休日はできるだけ回復に努めたい。
仕事して家事もして。
加えて、目を離したらすぐ死んでしまうような存在のお世話をするなんて、とてもできると思わない。
私は私を大切にしたい。

でも。
この意見は世間では少数派で、女性は子どもをもちたいと思うのが自然なのだ。

子どもを持ちたいと考える人々の圧倒的な存在感。
持ちたくて持ちたくて、辛い不妊治療に耐える人々の悲壮感。
それらは、漠然とした「当然のもの・正しいもの」のレッテルが貼られた大きな塊となって、自然の流れに逆らう私みたいな人間を押しつぶす。

男性はいいな。
妊娠や出産で苦しむことも、死ぬこともない。
キャリアが中断することもない。
女性が産休育休時短勤務のコンボによって、子を慈しむことを疑わない。
子どもがほしいな、なんて。
呪いみたいな言葉を、すごく軽い気持ちで口にするのだ。
その呪いが、女性の人生に多きな変化と自己犠牲を強いることにも気が付かずに。

仕事から帰ってきたらかわいい我が子が家にいる。
ちょっと可愛がって、寝かしつける、休日は遊びに連れ出そう。
とかいうお花畑妄想をしている男性が多くいる。
この妄想の中で男性は、今の自分の生活を大きく変えようとは思いもしない。
今と同じくフルタイムで仕事をして、残業もして、たまには飲みに行く。
そんな生活が当然にできると思っている。

子どもが保育園に入るまで育休を取得しよう、できるだけの時短勤務を取得しよう、子どものためにキャリアコースを変更しよう。
そんなことを考えながら、「子どもがほしい」という男性が、いったいどれだけいるのだろうか。


子どもを持ちたいと思うのは自然なことだ。
なぜほしいの、なんて聞くひとはそうそういない。

夫から子どもが欲しいと言われたとき。
そうね、欲しいね、と返せる妻であったらよかったのに、と思う。
何にも考えず、ただ欲しいから、頑張ろうか。
そう返せたら、どんなに良かったろう。


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