矜持と危機感

  僕は現在、派遣社員として超ホワイトな世界的大企業に勤めています。

  この度大規模な生産落ち込みに伴い、7〜8月に契約更新を迎える派遣社員は契約打ち止めの対象となりました。元々僕は5月末で契約終了の予定だったのでその煽りを受けることはないのですが、契約打ち止めの対象となった人たちの中には同じ部署の仲間や日頃から親しくしている友達、赤の他人でも家族を持っている人もいたりします。派遣社員とはいえ労働者として権利は認められてはいるので派遣会社から次の仕事を紹介してはもらえるのですが、それでも突然収入も含め今とは生活環境が大きく変わってしまう訳で、そこには大きな不安やストレスがあるはずです。僕はまあまあ職を転々としてきた人間なのでその気持ちは良くわかるし、とても他人事ではない。

  所詮派遣社員なのでそのような対応は当たり前。至極真っ当でごもっともです。経営側からすればいらなくなったらすぐ切れるのが派遣社員を使うメリットなんですから。 でも派遣社員も人間でして、そいつらにはそいつらなりに事情がある。僕の知る限り派遣社員で訳アリじゃない人間は、いない。それは仕方が無かったり、どうしようもなかったり、、、まあ大体がどうしようもない奴ですが。そして僕もそんなどうしようもない人間のひとりです。

   ぶっちゃけ派遣社員てハローワークの求人なんかより条件が良くて給料も良いです。まあこれはタイミングと地域によって差はあるでしょうが。これも現場によりけりですが、学も経歴も問われることなく根拠不明に割と稼げるし業務も正社員と同じ。当然正社員より仕事ができる派遣社員もいるし、正社員と扱いが全く変わらない現場もあります。だから自分も大企業の一員だと勘違いしている派遣社員もいるのは事実です。

  一緒に同じ仕事をして、一緒に同じ苦労をして、一緒に同じ理不尽に腹を立て、一緒に同じ朝日を見て笑う。なのにいらなくなればハイさよなら。憤りを感じる人もいるでしょう。 

  でも我々は派遣社員なのです。勤務地は同じでも勤めている会社は違います。同じ制服を着て同じ釜の飯を食っていても雇用形態が違うのです。

  派遣社員が持たなくてはいけないのは正社員より仕事ができるとか大企業の一員といった矜持ではなく、いつ契約が終わるかわからないという危機感です。

  自分もやってきたし助けてもらったので僕は派遣社員という雇用形態を否定しません。でも長くやるもんじゃない。人材派遣というのは「ダメ人間再生の慈善事業」だと僕は思っています。こう書くと怒られそうですが、実際派遣社員てダメな奴ばっかなんだから仕方ない。

  派遣社員のみなさん、派遣会社は用法用量を守って正しく使いましょう。

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