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感想:ブラック校則(荻上チキ・内田良)

今日は久しぶりに本の感想を書きたいと思います。

私が好きな評論家の荻上チキさんと教育社会学が専門の内田良さんが編著した「ブラック校則」という本です。

私がこの本を読み終わったちょうどその頃、このnote界隈でも、先日はるかぜちゃんが記事にしていて、話題になっていましたね。

この本は、その名の通り、学校にて定められている校則の中で、過度に生徒の人権を侵害しているような校則をブラック校則と定義し、それをテーマとして、

①学生、およびその保護者宛に実施したアンケートの結果から見えるブラック校則の実態と具体例
②ブラック校則がもたらす健康面、経済面の負荷や、司法上の校則の位置付けの解説
③ブラック校則を無くすために何ができるか
の3本柱で書かれています。


私自身は、校則のせいで何か嫌な記憶があるわけではありません。ただ、この本が執筆されるきっかけとなった、2017年に女子高生が起こした裁判のニュースを見て起こったブラック校則論争を見ていたので、興味を持ってこの本を読みました。

やはり小さい子を持つ父親として、現在の教育環境における問題点の1つとしてニュースでも取り上げられることのある「ブラック校則」の現状を知り、仮に我が子が不利益を被ることがあったときの予備知識となるように、と思って読みました。

何より、私の下の子がめちゃくちゃ地毛が茶色いんですよね…同じ問題に巻き込まれたらどうしよう、と思って。


この本を読んでまず思ったのは、21世紀になってもなお、意味のわからない校則はまだまだあるんだなぁ、ということ。そんな校則がある学校は一部でしょうけど。それでも。

・髪染めを強要する
・パーマ禁止(クセ毛の人はパーマをかけていると見なされ、強制的に矯正させられる)
・靴下は白しか認めない(黒はだめ)
・マフラーやタイツなどの着用禁止
・下着の色が決められており、女子の下着の色を教諭がチェックする(男性教諭の場合あり)
・男女ともに肌着着用禁止
・部活における早朝、夜遅くまでの過度な練習(もちろん強制)

などなど…

この本では、これらの実態を浮き彫りにした上で、これらの校則には何の教育学的な意義が無い(こんな校則を作っても意味がない)ことを論じています。

意味ないのにこんなことやらされるなんて。それで嫌な思いを子供がするのは嫌だなぁ。


校則のあるべき姿として論じられていた中で印象に残っているのは

・日焼け止めクリームの使用を禁止する「校則」があるが、禁止することに何の意味もなく、むしろ健康上の意義が認められることから、クリームの使用を「推奨」する方がよい。このように、校則1つ1つの意義を問い直し、アップデートすることが必要。

・校則は、学校だけでなく、生徒や保護者、できれば地域社会を巻き込んで作るのがあるべき姿。

・校則は、生徒を画一的に指導するために作られたものであり、それは教育ではない。1人1人のニーズや考え方に寄り添うのが教育。

というところでしょうか。特に最後の

校則は、生徒を画一的に指導するために作られたものであり、それは教育ではない。1人1人のニーズや考え方に寄り添うのが教育

は、本当にそうなんだろうなぁと思うんですよね。

クラスに1人とか2人しか担任の先生いないんだったら、1人1人の子供なんて見てられないんだろうし。

そもそも教師には残業代が出ない制度になっている、ということなんで、そもそもの勤務環境に問題があるような気もしますし。


もし自分の子供が通う学校にブラック校則があるのなら、
・校長や教頭に声をあげていくこと(できれば回りをまきこんで)
・それでも校則が変わらなければ、保護者の意向として校則を無視させる
・無理しないで、通う学校を変える

のように、取るべき対策も書いてあるので、実用的な本にもなっていると思います。

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