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私たちが豊かな食生活の獲得と同時に失ってしまったもの

こんにちは。ポケットマルシェ中山です。

食べる通信ポケットマルシェをカンブリア宮殿に取り上げていただいてから10日ほど経ちました。

放送ではサービスを丁寧に紹介いただいたお陰で、多くのお客さんにサイトにご訪問いただいております。有難うございます。

(ちなみに先週から『TVer』というサイトで一週間限定無料配信が行われています。見逃した方はぜひご覧ください。<2019/2/28日22:53まで>)

放送後は多くの方から「アプリをダウンロードしました!」「ポケマルで買いました!」という声をいただきました。なんとAppleのappストアでも、あのpaypayを抜いてアプリの人気ランキング1位に!嬉しい!

一方、たくさんのお客さんにお越しいただいたため、二度にわたってサーバーを落とし、一時的にアクセスできない状況となっておりました。(現在は復旧しております。ご不便をおかけして申し訳ございませんでした。)

そんなカンブリア効果で多くのお客さんにポケマルをご利用いただいたため、売り場でも放送直後は多くの「在庫なし」の商品が。中には1日に100件近い注文を受けた生産者さんもいらっしゃいました。

そんな中、実際にポケットマルシェのコミュニティにこんな投稿を見つけました。

上記は静岡の農家、川島さんのコミュニティ投稿ですが、出品中のいちごはテレビ放送後の注文増に加え、端境期(はざかいき)であることも相俟(あいま)ってすぐに発送できない状況だったといいます。

▼私たちが豊かな食生活の獲得と同時に失ったもの


ということで多くのお客さんがポケマルにお越しいただいたこの機会に一次産業について思ったことを少し書いてみたいと思います。

私たち日本人は高度経済成長以後、大規模流通の発達や食品保存技術の発達、そして所得の向上によって"豊かな"食生活を手に入れました。

北海道の新鮮なお野菜が翌日には都内の家に届いていたり、九州のお魚が翌日には都内の生簀で泳いでいたり……。私たちはこの発達の恩恵を大いに与ってきたと言えます。

こんな"豊かな"食生活を手に入れた私たち。一方で、私たちは何かを失ってしまった気がするのです。

その何かとは食べ物への感謝が薄れてしまったことではないでしょうか。大規模な物流網の構築により、遠くの地域にある野菜や魚が簡単に手に入るようになりました。そうなることで、その先にある生産現場が消費者にいつしか見えなくなり、常に自然と共生し食べ物を生み育てる生産者さんへの感謝が薄れてしまったのです。

石田徹也さん(1973-2005)という画家がいらっしゃいました。その方が書いた絵がこちら。題して『燃料補給のような食事』

牛丼屋のカウンターで、まるで車のガソリン補給のような食事をする人が描かれています。食事提供者(お店の人)と食べる人(お客さん)の会話は皆無。お客さんはただ無表情で食事をするのみ。

解釈は色々だとは思いますが、私にとってこの絵は今の日本人の多くの人の食生活を象徴しているように見えます。料理を提供する人へはおろか、生産物を産み育てる生産者さんを想像することすらできない社会。


よく「異常気象のため漁獲量減少 値段も高騰」とか「猛暑と豪雨のため野菜の出荷ができず」なんていうニュースがテレビで流れることがあります。

そんな時、必ず街ゆく主婦の方が「家計を直撃して困ってます」とか「早く魚がスーパーに戻ってきて欲しいわ」なんてコメントしてます。

もちろん、主婦の方のコメントはそれはそれで事実なんで、問題はないんですが、一方で生産者側がニュースで取り上げられることってあんまりないと思うんですよね。ただ生産者さんも生産者さんで大変なんです。

例えば先日、ポケマルではこんなコミュニティ投稿がありました。北海道の漁師、森さん。注文がたくさん入るも、時化(しけ)で船を沖へ出せず、魚をとることができないとのこと。

写真を見る限り、相当な白波が立っていますから小さな船だと転覆必至です。こんな海の状況を見せられると「早く漁に出て魚をとってこい」なんて口が裂けても言えません。この状況で漁に出ろというのは「死んでこい」と言っているのとほぼ同義ですから。

▼ポケマルを通じて生産者と消費者に五分の関係性を

ということで、ポケマルでは、生産者さんとお客さんとがもっと身近に繋がる社会を作りたいと思っています。

これは何も「お客さんは生産者さんの現場を知ってもっと敬うべきだ」とかそういうことではなく、お互いがお互いに対し想いを馳せあうことを目指しているということです。

お客さんが生産現場から遠ざかってしまったのと同時に、生産者さんもお客さんから遠ざかってしまっているのですから生産者さんも、もっとお客さんとつながり、「なるほどお客さんはこんな消費行動をするのか」とか「こんな風に販売するとお客さんも嬉しいのか」などということを知っていくべきだと思っています。

消費者は誰もが食べ物をお金で買わないと生きていけないのと同様に、生産者もまた、食べ物を作るだけでは生きることはできず、お金も必要です。つまり生産者と消費者は五分の関係であるべきです。

そんな五分の関係づくりをポケットマルシェというプロダクトを通じて実現できればと思っています。ぜひ今後とも応援宜しくお願いいたします!そしてカンブリア宮殿放送後にご注文いただき、商品の発送をお待たせしている皆さん、もうしばらくお待ちください…mm

(ちなみにこれはポケマルに出品している長野県の農家、五味さんがお客さんの息子さんからいただいた"ラブレター"だそうで。ほっこりしますね^^)


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