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アルメニア生活記4(ナゴルノ=カラバフ編)🇦🇲

 無事に未承認国家ナゴルノ=カラバフに入国した私たちは今回の最大の目的であった。KONIFAの欧州選手権に向かうことにした。意外にも立派なスタジアムがあり、観客もある程度の人数は集客できると思われる。開会式と言っても、8チームしか出場していない大会だ。どんなものかと思ったが、彼らにとっては非常に大きなイベントだったのだろう。開会式はとんでもなく豪華だった。おそらくこの辺では有名なアーティストが登場したり、ダンスパフォーマーが盛り上げたり、何度も大きな花火が上がったり、観客は大盛り上がり。まだ試合は見ていないが、試合よりも盛り上がっているのではないかと思うくらいだった。小さな子供から大人まで、皆が揃ってステージに釘ずけになっている姿は圧巻の一言であった。

 彼らは未承認国家ということもあってオリンピックや国際大会には出場できないのかもしれない。(詳しいことは知らない)だからこそ、この大会は私たちでいうところのオリンピックに近いものなのかもしれない。

 外務省の渡航情報だと、ナゴルノ=カラバフは危険レベルも高い地域となっていたが、実際はそんなこともなくむしろ治安は非常に安定していた。人々は優しく、珍しい外国人観光客をもてなしてくれた。八百屋に行けばホームメイドワインの試飲をさせてくれ、シャウルマを注文して待っている間には、ウォッカをくれる。何と言っても店主が朝から晩までビールを飲みながら仕事をしているというラフな感じだ。

 KONIFAの影響もあり、他地域からの渡航者も多かったようだが、何と言ってもナゴルノ=カラバフの女性たちがとにかく美しい。アルメニアの美しさには心底驚いたが、それ以上だ。都会っ子というわけではないので、華やかしさはそれほど感じないが、ナチュラルな美しさを身にまとっている。まさに美女軍団という感じだ。

 

 翌日実際に試合を見に行くことになる。なんと地元ナゴルノ=カラバフのチームの試合だ。サポーターはW杯で盛り上がる日本人と同じように、フラッグを持ち、ペイントをし、準備万端。地元のチームということで、圧倒的有利な雰囲気の中、いざキックオフ。正直、サッカーについては詳しくわからないが、テレビで見たナオトインティライミのプレーの方がうまく感じてしまった。チャンスがくるたび盛り上がるサポーター席。シュートの結果で一喜一憂し、歓声とため息が混じり合う。スタジアムにいるこの感覚は嫌いじゃない。私も参加している気分になれるからだ。なんかのタイミングでやってくる観客席のウェーブ。これがしつこいくらいやってくる。ただ、自然と立ち上がって手を上げてしまっていた私はこの雰囲気に飲まれてしまった1人なのだろう。

 試合は無事にナゴルノ=カラバフのチームが勝利した。点差こそ忘れたが、大盛り上がりだった。それだけは間違いない。皆ノリノリでスタジアムを後にしてくのが印象的な1日になった。どこの世界でもスポーツは選手のみならず、観客も巻き込んで一体感が生まれる素晴らしいものだと実感したのである。

さて、そんな試合が終わってしまうと、特にやることがないのが今回のナゴルノ=カラバフ。夜遊べるような繁華街があるわけではない。ということは。。。

そう。今夜もビールとワインを飲むしかないのである。しかし、夜眺めた星空はお世辞にも綺麗とは言えなかったが、空気が澄んでいて、落ち着いていた。まるで、この町を象徴しているようなそんな存在感を放っていた。

サッカーで盛り上がる町。それでも夜になれば落ち着きを取り戻し、いつもと変わらない様子を見せてくれるこの町。華やかさはない。便利でもない。しかし、それ以上に落ち着いていて、のどかな景色を眺められることができるこの町が案外気に入ってしまった。