トイザらスは、本当にアマゾンのせいでつぶれたのか?

 トイザらスに在職していたせいもあり、また、EC・オムニチャネルの専門家として活動しているため、昨年のUSトイザらス破綻のニュースには、本当にびっくりしました。

 しかし、トイザらスは、本当にアマゾンのせいでつぶれたのでしょうか? 

 YouTubeで、USの面白い動画を見ました。プロレスで、トイザらスのキャラクターのジェフリー(あくまでキリンの着ぐるみではない)が、ヒール(悪役レスラー)をガンガン攻め立てて勝利は目前というときに、UPS(USの宅配便)の配達員が、Amazonのロゴの入った段ボール箱をリングに届けに来たのです。ヒールたちは、その箱を使って、ジェフリーを殴り、逆転してしまいました。メジャーなエンターテイメントでもこんなトイザらス×アマゾンネタが使われるとは、よほど話題になっていたということでしょう。

 ところで、トイザらスが、チャプター11(USの会社更生法)の適応を申請したのは、私が知っているだけで4回目でした(定かではありません。もっと多いかも。)。USの大型小売業は、店舗数拡大を続けて、有利子負債が増えていき、うまくキャッシュフローが回らなくなると、チャプター11を申請して、重荷をクリアしスポンサーを見つけ、元気に復活しているというイメージがあります。他の有名小売企業も過去にチャプター11を申請しています。調べてみてください。
 では、今回はなぜ復活できなかったのでしょうか?

 前回、チャプター11を申請した後は、大手ファンドが支援し、順調に回復していざ再上場というときにリーマン危機が起き、IPOが出来なくなったそうです。そのまま、経営を続けて、売上は減っては来ているものの、営業利益は出てたようですし、EC売上はおそらく1000億円以上あったはずです。2017年版のInternetRetailer 500というUSのECランキングではトイザらスは38位でした。アマゾン相手に苦戦はしていたと思うのですが、ECは順調でさらなる拡大を目指していました。私は在職もしていましたが、その後、しばらくしてトイザらスのECを支援する企業の幹部もしていましたので、この辺は間違えはないと信じています。

 では、なぜ。有利子負債が一番の影響のようです。そして、支援企業が現れなかったのは、アマゾンに押されてつぶれたという風評的な問題ではと想像しています。
 メディアは、リアルとネットの戦いで、リアルが苦戦していると報じています。数年前に、あるUSの小売企業がECに押されたせいで、20数箇所の店舗を閉鎖したとメディアが話題にしました。しかし、データをよく見ると、同年に開店した店舗はそれ以上で、前年に閉店した店舗はもっとありました。数百店もつ小売業では、このくらいの閉店や開店は当たり前なのでは、本当に全てがECのせいといえるのか、と。

 メディアも、消費者も、ある程度ステレオタイプの論調が好きなんだと思ってしまうわけです。今はネットで、データなどが見ることができるので、ちょっと見に行けば、一般的に話題にされていることが違うことがあると見ることもできるはずです。
 データはありませんが、私もちょっと前にメディアでいろいろ取り上げられた会社にいて、話題にされた内容と私が社内で見聞きした内容が違うという実際の例を見ていただけに、余計、トイザらスの件は、アマゾンだけのせいではないのではといいたくなるわけです。

ヨーロッパ、日本のトイザらスは健在で、US国内でもトイザらスのブランドを使ってのビジネスの復活をさせようという動きもあるようです。せっかく、USを代表するブランドの一つなので、ぜひ再びその姿を見せてほしいものです。「僕らはトイザらスキッズ♬」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?