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アセクシャルがおすすめする「恋愛じゃない愛」にまつわる小説5選

こんにちは、なかしまです。

今回は、以前から「いつか絶対書きたい!!」と思っていたことを書きたいと思います。

それはずばり、「恋愛じゃない愛の話」のおすすめ小説特集です!

まず先にお伝えしておくと、私は「アセクシャル」という「他者に性的欲求を抱かない」セクシャリティに属しています。

そのことに関しては以前noteに書いたので、気になった方はぜひこちらの記事をご覧ください。


で、「恋愛じゃない愛の話」ってなんぞや?っていう話なんですが、そういうカテゴリがあるわけではなく、
私の完全な主観で、
「恋愛」でも「友情」でも「家族」でもなく、関係性に名前はないんだけど、「それって愛じゃん・・・!」って見ていて思う作品のことを指しています。

恋愛ものが苦手、
だけど感情が揺さぶられる物語は読みたい、
という思いで、手探りで見つけ出した、
「恋愛が苦手な人でも読める『愛』の話」を
まとめてみました。

小説以外にももちろんあるのですが、
全部紹介するとあまりに長くなりすぎてしまうので、
今回は小説に絞ってご紹介しますね!


1.上流階級 富久丸百貨店外商部

アセクシャルという言葉を知る前から、大好きな本です。

あらすじとしては、百貨店の外商として働く主人公の静緒がお金持ちのお客様のあらゆる要望に応えながら、外商員としてどんどん成長していくお仕事小説です。

「恋愛じゃない愛の話」というのは、主人公の静緒と、同僚で同居人の桝家の関係のことを指しています。

静緒はバツイチ子なしのアラフォーで、桝家はイケメンゲイのアラサーです。
お互いに世間から白い目で見られたり、この先一生一人で生きていくことに不安を感じながら、「でも結婚するのは違う」と感じて、孤独を感じていました。

同僚の桝家との同居は、静緒も桝家も尊敬してやまない上司の葉鳥の勧めでスタートします。

元々はお互いが嫌い合っていて、渋々スタートするのですが、
だんだん同居人としては馬が合うのでは?
お互いの仕事を理解出来て、確実に恋愛関係にならないのが楽だ、と考えが変わっていき、
ただの同居人と言うにはお互いがかけがえのない関係すぎる、でも恋人ではない、友達でもない、じゃあこの関係はなんて言えばいいんだ!ともがきながら関係を深めていきます。

お仕事小説としてもわくわくする作品で、作品を通してお客様の人生に立ち会えて感動できますし、どんどん関係性を深めていく2人の様子にも目が離せないので、めちゃくちゃおすすめの作品です!
(2024/8/22現在、4巻まで続編が出ています)


2.マル号の下僕(ポスドク!)

こちらも高殿円さんの作品です。
どんだけ好きなんだって感じですね…
でも、作者で選んだんじゃなくて、思いついた順に書いたらこうなってしまいました😂

こちらは、大学の非常勤講師として働く主人公の貴宣が、姉が育児放棄した甥っ子を育てながら常勤ポストを狙うお仕事&育児小説です。

この小説は、主人公の貴宣と甥っ子の誉の関係性がめちゃくちゃ「愛」で大好きです。

この2人は血の繋がりがあるので、関係性としては「おじと甥」ですが、ただ同居する親戚、というにはお互いの思いが大きすぎるので、私的には「恋愛じゃない愛の話」カテゴリに入っています。

非常勤で稼ぎも少ない自分の元にいるよりも母親の元で暮らした方が幸せになれるのではないかと考える貴宣と、ただの甥である自分を養っていたら幸せになれないんじゃないかと距離を置こうとする誉の、お互いを思い合うがゆえのすれ違いがたまらなく好きです。

大学講師の裏側も知れつつ、めちゃくちゃ素敵な関係性の主人公と甥の生活にも癒されるので、ぜひ読んでみて欲しい作品です。

3.正欲

こちらは実写化映画化されたので聞いた事がある人が多いかもしれません。

作者の朝井リョウさんが、物語の特異性から、詳細を一切言及せず、とりあえず読んでほしいとしか言わなかった異色の作品です。

なので、私も詳細を伝えることは出来ないのですが、言えるとすると、「ある性に関する悩み」を抱えた男女が、この世界を生き抜くために手を取り合おうとするお話です。

手を取り合った男女である、夏月と佳道の2人は「結婚」という選択をするので、外から見れば「夫婦」なのですが、本当はお互いに恋愛感情を全く抱いておらず、でもお互いの存在が生きていく上での支えになっているのが好きポイントです。

私は、先に実写映画を見てから小説を読んで、どちらも好きだったので、もしどちらもまだ見ていなくて、どっちも見たいなと思っている方がいらっしゃれば、私は映画を先に見ることをおすすめします。

映画では詳しく心情などは描かれないので、どういうこと?という場面もあったのですが、新垣結衣さんと磯村勇斗さんがすごく役に合っていて、その後小説を読む際にもイメージしやすかったので、私は映画を先に見て良かったです!

4.流浪の月

本屋大賞も受賞して、実写映画化もされたので知っている人も多いかもしれません。

こちらは、子どもの頃誘拐事件の被害に遭った当時9歳の少女  更紗と、彼女を誘拐した罪で逮捕された、当時19歳の大学生だった青年  文の過去と現在を描いた物語です。

あらすじだけ聞くと、犯罪の話?ロリコン?と嫌悪感を抱く人もいるかもしれませんが、世間からはそう見られてしまうけれど、本人たちの考えは全く違う、というのがこのお話の鍵となります。

詳しくは読んでみてほしい…!としか言えないのですが、過去の更紗と文との日常の美しさ、現代で再開してからの2人の葛藤とお互いを思いやる気持ちが本当に最高で、読みながら何度泣いたか数え切れません。

楽しくてハッピーな話とは全く言えませんが、感情を揺さぶられて、「普通」とか「世間体」って何だろうと考えさせられる作品なので、人生で1度は読んでみてほしい作品です…!

5.わたしの美しい庭

また凪良ゆうさんの作品になってしまいました・・・。
凪良ゆうさんは、「普通」とは何か、「世間体」とは何か、
生きづらさなどをテーマに書かれていることが多いので、
すごく大好きな作家さんで、ついつい選んでしまいました。

あらすじとしては、
ふたりで暮らしている小学生の百音と統理は血のつながりがなく、同じマンションの隣に住む路有と毎日一緒にごはんを食べる、家族のような関係である。
三人が住むマンションの屋上には断ち物の神さまが祀られている小さな神社があり、生きづらさを感じる人たちが訪れてくる。
という話です。

一話完結型のオムニバス形式なので、毎話主人公が変わります。
どの登場人物も大好きですが、私は百音と統理(ふたり暮らし)+路有(お隣さん)の関係性がほんっとに大好きで・・・!
百音と統理は血のつながった親子ではないし、路有はお隣さんで、
傍から見れば「どういう関係?」と思われて、心無い言葉をかけられてしまうこともある・・・。
でも、「完全な同居ではなく、距離感のちょうどいい家族のような関係」、
「一緒にごはんを食べたり、お茶をしたり、他愛もない話をできる関係」ってめっちゃよくないですか?
すごく憧れるし、見ていて私は幸せな気持ちになります。

統理と百音を見ると、ほんの少し安堵するのだ。
その気になれば、自分たちは血や戸籍以外でもつながっていける。
簡単ではないけれど、それは確かな光だと思えるのだ。

凪良ゆう(2019).わたしの美しい庭
ポプラ社

作中に、私が「恋愛以外の愛の話」が好きな理由が言語化されていました。
恋愛以外でつながって、一緒に生きていく人達の存在は、
アセクシャルで恋愛願望も結婚願望もない私にとっては「光」なんですよね。

生きづらさを感じている人や、自分って変なのかなと悩んでしまう人にはきっと刺さると思うので、ぜひ読んでみてほしいです。


まとめ

ということで、今回は「恋愛じゃない愛の話」の小説5選をご紹介しました。
何か1つでも読んでみたいと思う作品に出会えていたら嬉しいです。

私は本当に、「絶対に恋愛にならない愛の話」が大好きなんです。

異性とか同性とか、同世代とか年が離れているとか、そういうのはどうでもよくて、ただお互いが本当に大切で、思い合っている。
でも恋愛じゃないからこの関係をなんて呼べばいいかわからない、みたいな話がめちゃくちゃ好きで、
そういう話かもしれない、と聞いたらすぐに飛びついて読んでいます(笑)

またドラマや漫画、映画作品についても書きたいと思っていますし、
もし当てはまりそうな作品があればぜひ教えていただきたいです・・・!

これが需要があるかは一切わかりませんが、
書いていてとても楽しかったので満足です!笑

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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