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2018年 74冊目『だから失敗は起こる』

うちの社長から、面白いのでと薦められて手に取りました。

ちょうどスタッフの失敗から学ぶというプロジェクトを準備していたので、とても参考になりました。

とても面白い本です。

お薦めです。

著者の畑村洋太郎さんは失敗学会の初代会長。

福島原発事故の政府調査委員会委員長。

NHKでの「だから失敗は起こる」などで話題を呼んだ失敗学のパイオニアです。

本は8章からなっています。

私が興味を持ったポイントを書いておきます。

1失敗学へようこそ

・成功からは達成感を得られる。

・失敗からは、知識、経験、思考などから一般化された体験を学習できる

 →これが真の科学的理解

   因果関係、モデル化、正しい対応ができる

・国民は司法が原因究明と責任追及をすると思われているが、するのは責任追及のみ。

・原因追及すると責任追及すると思われ当事者は真実を話さない

・望ましいのは、原因究明から知識を共有し、そこから責任追及し、事故防止に活かすこと。

・六本木ヒルズ回転ドア死亡事故

 →暗黙知:本質安全:ドアを軽くしておく→これが日本の設計には伝わっていなかった

 →形式知:制御安全:センサを取り付けて危険時にストップする→作動しなかった

2予測できない失敗

・JR羽越本線脱線転覆事故

→三現:現地、現物、現人で、捜査情報の間違いを発見

 ※予測できない突風が吹いた

・技術を進歩させた3大失敗

1 タコマ橋の崩落:横風の自励振動

2 戦時標準船の沈没:低温脆性、水素脆性、応力集中

3 コメット機の墜落:金属疲労

・10の失敗原因

【個人に起因する原因】

1無知

2不注意

3手順の不遵守

4誤判断

5調査・検討の不足

【個人・組織のいずれの責任にもできない原因】

6制約条件の変化

【組織に起因する原因】

7企画不良

8価値観不良

9組織運営不良

誰の責任でもない原因

10未知

3予測できるはずの失敗

・ベビーカー挟まれ事故は防げた

→前輪の軸の外形が細いと挟まれても発車禁止のランプが消える

・ありうることは起きるという意識が失敗を防ぐ

→順演算と逆演算で防ぐ

・上越新幹線脱線事故

→新潟県中越地震による脱線事故は、実はあれくらいで抑えたという話

 被害を予測して防止したニュースは伝わらない(残念)

4失敗は伝わらない

・日本国中で津波の被害がある場所で「ここより下に家を建てるな」という碑があるが、それは守られない。

・日比谷線脱線事故で起きた「せり上がり脱線」は、既にほかの電鉄で起きていた。

・アメリカの損保会社の調査部長が見つけたハインリッヒの法則:1:29:300

・雪印の食中毒は失敗を隠ぺいした。

・失敗を伝えたくないという人間の心理を超える必要がある

5組織が失敗を呼ぶ

・JR福知山脱線事故

→行き過ぎた時間厳守→間一髪だった二重三重衝突事故回避

・成熟した組織には隙間が生まれ、それが失敗を生む

・JCO臨界事故は組織の慣れが起こした

・安全性、定時性、快適性、経済性

→利便性を追求し過ぎる社会に責任

・重大な事故は組織原因がある

6偽のベテラン、真のベテラン

・みずほのシステムトラブルの報告書での原因は「準備不足」と「情報連携不足」

→根本原因に触れていない。→トラブル再発するはず。

・真のリーダは仮想演習や逆演算ができる

・過度なマニュアル化が偽ベテランを生む

・個で考え、組織で共有することで、失敗がなくなる

→畑村塾のカリキュラム

7トラブル発生、さあ、どうする?

・カミオカンデのトラブル発生後の対応は素晴らしい

→残った設備でデータを出し続けると宣言

・思考展開図

1 思考平面図:頭にあるものを出す

2 括り図:グルーピング

3 思考関連図:グループタイトルをつなぐ

4 思考展開図:課題→課題→課題要素→解決策→具体策→全体計画

8失敗を残せ

・御巣鷹山の教訓を残す(展示する)

・三菱重工の破裂したタービンを展示する

・失敗知識データベース

DVDが付いているので、週末に見ようと思います。

▼前回のブックレビューです。


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