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2023年 45冊目『エフェクチュエーション』

中尾塾に来ていただく講師の推薦図書でした。

エフェクチュエーションとは、インド人経営学者サラス・サラスバシー氏が、著書『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』のなかで提唱した理論で、優れた起業家に共通する意思決定プロセスや思考(考え方)を発見・体系化した市場創造の実行理論です。

サラス氏の研究によると、優れた起業家の89%がエフェクチュエーションの理論を実践していると言います。

従来、大企業を中心に取り入れられてきたのは、はじめに目標を設定し、それを達成するための手段を検討していく方法でした。

この逆算的なアプローチは「コーゼーション(Causation)」と呼ばれます。

コーゼーションは将来が予測できる場合においては有効なのですが、不確実で将来の予測ができないVUCA時代では、通用しにくいのです。

そこで、コーゼーションとは対極の考え方の、問題解決型アプローチであるエフェクチュエーションが注目を浴びているのです。

0から1を創るような新事業にはエフェクチュエーションが、1から10にするような既存事業の成長にはコーゼーションが有効であると言います。

つまり、場面に応じてアプローチを使い分けていくことが必要なのです。

エフェクチュエーションを実践するための3つの資源

1. 自分が誰であるのか?(who they are?):特質、能力、属性

2. 何を知っているのか?(who they know?):教育、専門性、経験

3. 誰を知っているのか?(whom they know?):社会的ネットワーク

つまり、資源を洗い出す→行動する→他者と繋がることで生まれる相互作用により新たなものを生み出すということです

エフェクチュエーション5つの原則

1. 手中の鳥の原則(Bird in Hand)

新しい方法ではなく既存の手段を用いて、新しい何かを生み出す。

企業や組織がすでに保有している人材のスキルや技術力、ノウハウ、人脈などの手段を用いた問題解決型のアプローチ。

わずかな可能性からビジネスチャンスを生み出す。

リソースベースドビューの応用ですね。

2. 許容可能な損失の原則(Affordable Loss)

仮に損失が生じても致命的にはならないコストを予め設定する。

はじめから巨額の投資を行うのではなく、リスクの小さな少額投資から始め、小さな失敗を重ねて学習して成功確率を高めるのです。

3. クレイジーキルトの原則(Crazy-Quilt)

形や柄の違う布を縫いつけて1枚の布を作るキルトのように、顧客や競合他社、協力会社、従業員などのさまざまな繋がりをパートナーと捉えて、一体となってゴールを目指していきます。

4. レモネードの原則(Lemonade)

アメリカのことわざに「When life gives you lemons, make lemonade.」というものがあり、使い物にならない欠陥品でも工夫を凝らして、新たな価値を持つ製品へと生まれ変わらせるることができるという考え方です。

失敗作に思えるものでも、視点を変えたりポジティブな捉え方をすることによって、新製品のアイデアにつなげることができるということですね。

5. 飛行機の中のパイロットの原則(Pilot-in-the-plane)

先述の4つの原則を網羅した原則でもあり、状況に応じて臨機応変な行動をすることです。

常に数値を確認し臨機応変な対応をするパイロットのように、不測の事態に備え、外部環境の変化に対して柔軟に行動することが重要だということです。

大前提として、将来は自分たちで変えることができるという世界観なのですね。

▼前回のブックレビューです。よかったら、読んでください。


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