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2017年 57冊目『保育問題 待機児童、保育士不足、建設反対』

元横浜市副市長として対策を進められていた前田正子さんの本です。
データや様々な事実から全体像が把握できる本で、お勧めです。

一例を挙げると
子供の数が減っているのに、どうして待機児童がゼロにならないのか?

ざっくりと理解しているつもりだったのですが、きちんと数字で大枠を把握できました。

例えば東京都の例です。

東京は人口流入があるので、就学前児童数が増加している数少ない場所です。

2011年→2016年を比較すると。

①就業前児童人口:61万人→64万人(+3万人)
②保育所申込者数:20万人→26万人(+6万人)
③利用児童数  :18万人→23万人(+5万人)
④待機児童数  :0.8万人→0.9万人(+0.1万人)
⑤保育所申込率 :33%→41%(+8pt)

つまり、①児童人口増加(+3万)より、③利用児童数(+5万)と保育園などのキャパシティは増加しているのです。
ところが、②申込者(+6万)がさらに伸びているのです。

結果、待機児童数が増加しているのです。

その理由は、保育園に子供を預ける割合⑤が、大幅に増加しているからで
す。

子育てしながら働く女性のスピードが、大きいのです。

日本は労働力が不足していますので、女性の労働参加は、大歓迎なのです。

ところが、そのスピードに保育園の増加スピードが追い付いていないのです。

しかも、かなり規制を緩和して、保育園開園しやすくしています。
それもかなり大胆に規制緩和しています。
そのうえで足りないのです。

保育園を近くに作って欲しくない話もあり、あるいは保育士の人数が足りない問題があります。

保育士の資格を持ちながら、保育士として働いていない方も多数います。

これは、保育士の待遇の問題もありますが、長時間労働のために自分が出産すると継続できないという問題もあります。

なかなか一筋縄では解けません。
これ以外にも、様々な情報を網羅的に理解できます。

お勧めです。

▼前回のブックレビューです。


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