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2015年 39冊目『インドでバスに乗って考えた 混沌を生きる知恵』

インド人は、なぜなんなに生きることを楽しんでいるのか?

考えすぎない、先を読まない、前へ進もう!

と帯にありました。
表紙にバスに乗っている(掴まっている?)人たちの写真があります。

外に掴まっている人だけで3ー40人。
これがインドの通勤風景だそうです。

タイトルから、旅行記か何かと勘違いして手に取ったのですが、良い意味で期待を裏切ってくれました。

著者はインド系のアメリカ人のボブ・ミグラニさん。
]彼の主張は次のようなものです。

私たちは混沌を生きている。
人生は不確かで、予測不能で、複雑で、変化が速い。

受け入れることを考えすぎたり、過剰に計画を立てたり、分析しすぎたりするのをやめよう。

混沌をコントロールするのを諦めよう。
自分自身を、自分の考えを、自分の行動だけをコントロールすること。

できることはすべてやろう。
行動を起こそう。
前に進む小さな1歩が大きな飛躍に通じる。

流れに乗って、その乗り心地を楽しもう。

あなたは回復力を持っていて、状況に合わせる力もある。
待っていてはいけない。

物事は、結局は上手くいくものなのだから。
混沌を受け入れよう。

なるほどって思いました。
腹にストンと落ちてきました。

これを12のエピソードで紹介しています。

その中で、印象に残ったものを書いておきます。

インドの結婚式で踊るチャンスを逃す

インドの結婚式は8時間以上続くそうです。その場で皆で踊るのが醍醐味なのです。奥さんの弟の結婚式に参加した著者。実家から披露宴会場には、新郎は新婦から送られた馬に乗り、楽団と一緒に行きます。

ところが段取りが悪く、このままでは時間に2時間遅れます。
著者は皆を仕切り、タクシーに乗せます。

ところが、途中で一台のタクシーから叔父が降りて、そこでウイスキーを皆に振る舞いだし、新郎参列者だけで踊りが始まりました。

著者の奥さんも踊りに参加し、著者を招きます。

しかし、時間に遅れるのを恐れるあまり、著者はその踊りに参加しません。その後、楽団が先導し、2時間以上遅れて披露宴会場に到着します。

ところが新婦も更に遅れていて、何事も無いように披露宴は開始します。

そして、メインの踊りは割愛。

著者は、待ち望んでいた踊りができなかっただけではなく、奥さんの唯一の弟の結婚を心から祝う機会まで逃してしまい後悔するのです。

予定通りに披露宴を進めるのに集中するあまり(しかも、そんな事は著者に誰も求めていないのに)、一番大事なことを忘れてしまっていたのです。

その瞬間を楽しみましょう!

空いているバスなど絶対に来ない

表紙の写真ですね。
著者は従兄弟の通勤に同行しました。

1つめのバスが写真のようでした。

空いているバスがあると思い、いくつか便を待つのですが、どれも写真と同じです。

ちなみにバスはバス停で止まりません(笑)。
スピードを落とすだけです。

そのスピードに合わせて、乗客は走り、空いているバーに手を伸ばすのです。そして、乗る。

そして、周囲は助けてくれるそうです。
それが毎日だそうです。

完全なものを待っていてもたどり着けないのです。

ムンバイでヒッチハイクの通勤

著者の勤める会社の子会社の営業との同行。
営業は20km離れた自宅からムンバイに通勤しています。

通勤と言っても、毎日ヒッチハイクを繰り返し。

その日は3回ヒッチハイクをし、2時間で待ち合わせ場所に到着したそうです。

会社は通勤費も営業交通費も払ってくれません。

でも、それを嘆いても何も変わりません。
自分の行動に専念すれば、混乱の中でも前に進めるのです。

彼女は明日も私を待っている

営業に紹介してもらい、貧しい地域を回る医療サポート職に同行します。(医療職ではなく、病人宅を巡回し、簡単な問診をし、体温を測るなどをします。

彼が、担当する10世帯の患者は重症が多く、彼が回っても、病状は改善する見込みはありません。

そこで、著者は「なぜ意味の無いことを続けられるのか?」問います。

彼は、それぞれの患者の病状や家族構成を回答するだけです。

そのような会話を何度か繰り返した後に、彼は気づきます。

彼は自分の出来る範囲のことを、最大限やっているのです。

目的や人に奉仕することが前に進む力になるのです。

実際、数年間で数人は快方に向かっているのです。

導師の教え

悩み多き著者は、偶然著名な導師(グル)に会います。
その導師は、著者の質問に回答するのではなく、質問で返します。

そうなんです。

自分の疑問にはすべて自分で答えることができる。
と言う一番大事なことに気づいてもらうために。

お勧めです。

▼前回のブックレビューです。

▼PIVOTに出演しました。よかったらご覧ください。

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