2023年 31冊目『らんたん』
2016年にナイルバーチの女子会で直木賞を取った柚木麻子さんの小説です。
柚木さんの母校、恵泉女学園中学・高等学校の創立者、河井道さんについての本です。
この河井さんと一色ゆりさんは、キリスト教のシスターフッドで、日本の女子教育に大きな影響を与えた話だとも言えます。
河井道さんは1877年生まれ。父は伊勢神宮の神職だったが明治維新の政策により失職したそうです。
保証人になっていた人の事業が失敗したことで大損し、一家は北海道へ移住します。
道さんはミッション系の女学校で学び、当時札幌農学校で教鞭をとっていた新渡戸稲造と出会います。
そして19歳で上京し、津田梅子に師事し、米国に留学するのです。
帰国後は、津田塾で教鞭をとり、YWCAの活動に携わります。
そして、1929年、52歳の時に恵泉女学園を設立します。
津田塾の生徒だった渡辺ゆりさん(一色乕児さんと結婚)と一緒に学校の発展に力を尽くすのです。
道さんの交友関係が半端ないのです。
上述の新渡戸稲造さんや津田梅子さん。
たとえば米国に留学中に野口英世さんと出会い、野口さんが道さんを口説いているのです。
※分かっているのは、野口さんが友人の手紙に道さんの事を書いている事ですが。
また、北海道時代に知り合った有島武郎との関係です
彼は新作を書くとわざわざ道先生に見せに行くのですが、褒めて貰えない笑。
有島さんは当代きってのイケメンでモテモテなのに、道さんに褒めてもらいたくて仕方がないのです。
また、津田塾には、平塚らいてうさんや婦人運動で高く評価されている山川菊栄さんなども登場します。
津田梅子さんと留学仲間だった大山捨松さんやNHKの朝ドラの主人公になった広岡浅子さんとも交流があったようです。
道さんが九州から帰る汽車の中で財布を盗まれて、広岡浅子さんに救われたのはノンフィクションだそうです。
一気読みしました。
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