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2016年 7冊目『仮面の日米同盟 米外交機密文章が明かす真実』

※以下は2015年にFBに投稿された内容です。

オバマさんと安部さんの笑顔の写真と一緒に「アメリカが守ってくれる」は幻想だ と帯にあります。

日米同盟を強化するために、集団的自衛権を実行できるようにしなければいけない。現状、アメリカ軍の兵士が戦闘で怪我をした際に、助ける事ができない。

だとすると、日本が他国から侵略された際にアメリカ軍は守ってくれない。これは、不味い。

だから集団的自衛権を行使できるようにする。

これが大雑把に言うと安倍さんのストーリーの1つだと理解しています。

アメリカの核の傘があるので、他国が攻めてこない。予防策としてのこれが無くなると不味い。

また、他国から攻められた際の発生時対策として、アメリカ軍が退治してくれなくなるのは困るでしょう!と言う事ですね。

色々な意見があるので、ここでこの是非については言及しません。

ただ、筆者が丁寧に外交機密文章から読み解いたところ、アメリカが守ってくれると言うのは勘違いですよ!って話です。

1978年の最初のガイドラインでは

「日本は、原則として、限定的かつ小規模な侵略を独力で排除する。侵略の規模、態様等により独力で排除する事が困難な場合には、米国の協力をまって排除する」

「自衛隊及び米軍は、日本防衛のため、作戦を共同して実施する」とあります。時は冷戦時代、アメリカの主体性が記載されています

ところが、97年の朝鮮有事を想定したガイドラインを経て、今回15年のガイドラインでは、

「日本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し、日本に対する武力攻撃を極力早期に排除するため直ちに行動する。(略)米国は、日本と緊密に調整し、適切な支援を行う。米軍は、日本を防衛するため、自衛隊を支援しおよび補完する」

「米軍は、自衛隊を支援し及び補完するため、打撃力の使用を伴う作戦を実施する事ができる」

両者を比較すると、米軍の態度の後退がよくわかります。
当初は米軍主体、で自衛隊は補完。現在は自衛隊主体で、米軍は補完という関係だという事です。

独立国としては、当たり前ですが、一般の人がもしかしたら誤解している、アメリカが戦闘を代替してくれるというのは幻想だという事です。

もう一つ誤解があります。
沖縄米軍の位置付けです。日本を守るためにあるのだと勘違いしている人がいるようです。
そうではありません。

アメリカの東アジアの防衛戦として有効な土地だから、軍隊があるのです。つまり兵站の確保です。

当然ですね。だからアメリカ軍が地代を支払っているのです。日本のためであれば、お金を払っていて貰うはずです。

機密文章によると沖縄返還の理由も分かります。
米軍兵の沖縄でのトラブルが多発し、沖縄県民の不満が爆発しそうでした。

このままだと基地の存続が危うい。
米軍隊を沖縄に置けなくなるのと、沖縄返還を比較すると、沖縄返還の方がマシだという判断だったようです。

つまり、日本を守るためにという事ではなく、当たり前ですが、自国の防衛のために判断したわけです。

アジア諸国がアメリカに日米安保を非難した話についても載っていました。

しかし、アメリカは、日本をアメリカの傘に入れて、独自の戦力強化をさせない方が、独力で戦力を持たせるよりも弱いよ!と言う論理でコンセンサスを得たようです。

アジアの近隣諸国は、日本が単独で軍隊を持ったら、すぐに強いのを作り、簡単に核武装するに違いないと思っているという事です。

これに関連する日米繊維交渉、それを受けてのニクソンショックなどについても、機密文章というファクトをベースに書かれています。

とても興味深い本でした。お勧めです。

▼前回のブックレビューです。

▼PIVOTに出演しました。よかったらご覧ください。

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