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2017年 16冊目『キリンビール高知支店の奇跡』

高知支店、四国支社、東海支社の業績をV字回復させ、全国の営業責任者になりシェアNo1を実現した元キリンビール代表取締役副社長田村潤さんの本です。

アサヒスーパードライにより圧倒的なNo1だったキリンが逆転された時代に、地方からシェアNO1を奪還した話です。20万部以上売れているのがよく分かります。

本部から多数の施策が現場に下りてきます。

その施策をするだけで現場は手一杯になり、さらにその報告のために大半の時間を使う事になります。

現場リーダの自立自転を促し、やる事を絞り、会議をなくし、顧客接点との接触量を増やします。

最初の3か月ほどは変化が起きません。

また行動量を増やした営業も使う筋肉が違うので戸惑います。

しかし、4か月目から少しずつ成果が出始めます。

その成果の兆しが見えてきたら、一気呵成に攻め込みます。

内勤女性を外勤営業に投入するのです。

やる事を絞り、会議を減らしたので、マンパワーが生み出されたのです。

現場の兆しも見逃しません。

桜の花見の宴会後のゴミ箱からキリンのシェアが2割しかないのを知ります。

まじめに基本的な行動を増やしていると味方が増えてきます。

社内でも競合にやられているエリアの販促予算を付けてもらえます。

その予算で行った地方局のテレビ、ラジオが協力してくれるようになります。

飛び込んでいたお客さんが顧客を紹介してくれるようになります。

この方の凄いのは、高知で成功した方法のコンセプト(ビジョン、コミットメント、PDCA、現場の自立)は移植するのですが、やり方はリーダに任せるのです。

ですので高知から四国4県の責任者になった時は、4県がまったく別の戦略を取ったのです。

そして、どれも成功しているのです。

一般的な管理職であれば、成功モデルに固執する事もあると思います。

そうしないのが、筆者の非凡なところだと思います。

更に、神風も吹きます。

社長が高知支店に来た際に、女性メンバーが社長に「ラガーを元の味に戻してほしい」と直談判します。

ラガーの味を変えたことで、シェアが大幅に下がっていたのです。

いったんは、Noと言った社長ですが、帰京後、記者に言ったひと事がスクープになり、元の味に戻ります。

高知発で顧客の意見が通ったのです。

高知のお客さまも喜んでくれます。

最後に勝つための心構えが載っています。

抜粋します。

・事実をベースに考えつくす

・理念:会社は何のためにあるのか。自分は何のために仕事をしているのか。

・ビジョン:理念に基づいたあるべき状態。これをチームで共有し、戦術まで一貫させる。

・腹をくくる

・成功体験:まず小さな成功体験を現場に経験させる

・ブランドは守りの思想:自社顧客に対してメッセージをうつ

・営業のイノベーション:既存のものや力の組合わせを革新して、社会的価値を実現する行為。

・リーダシップの革新を支えるもの:考える事。未来は予想できないけれど、創りだせるという思想。

・勝ちたいという執念

・結果のコミュニケーション:コミットメントをきちんと振り返る

・最小のコストで最大の顧客満足を

・チームワーク:ひとりひとりでは勝てなくてもチームでは勝てる。これが日本の勝ち方。

・量は質に転化する:基本行動を地道に愚直にしていると、いつかそれが質を生み出す

・苦しいときの変革は地方から起きる

・顧客目線のシンプルな戦略

・バックミラーをみならが運転してはいけない:データは我々の過去の行動の結果に過ぎない

・動きのあるものとしてとらえる:市場の変化に気づく

5要素と2つのあり方

1ビジョンを明確に描く

2ビジョンを自分が実現すると決める

3ビジョン実現のための戦略・戦術(勝利のためのシナリオ)を考え抜く

4勝利へのシナリオを自分ややりぬくと決める

5結果のコミュニケーションと徹底した活動の継続

約束:コミットメント

 人から迫られてものではなく、自分から湧き上がるもの

 ビジョン実現のために、すぐやる、なんでもやる、手に入るまでやる

責任者:自分が源、じぶんごと

 すべては自分の選択の結果である。

 何かのせい、誰かのせいにしない

 常に自分が源、自分が当事者であるという意識

▼前回のブックレビューです。


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