2023年 69冊目『決断の本質』
エベレストの悲劇、ケネディの誤算、ノルマンディ上陸作戦、ウエルチの改革、コロンビア号の惨事、何が明暗を分けたのか?
成功の鍵は「正しい結論」ではなく「正しいプロセス」だ!と帯にあります。
この本は4部からなっています。
意思決定プロセスを導く
1章:リーダーシップへの挑戦
2章:決定する方法を決定する
意見の対立を促す
3章:硬い壁と柔らかい壁
4章:アイデアの衝突を促す
5章:対立を建設的に解決する
コンセンサスを形成する
6章:優柔不断の力学
7章:正しいプロセスを追及する
8章:実行につながる決断
新たなリーダーの条件
9章:自制心をもって導く
ポイントをメモしておきます
1章:リーダーシップへの挑戦
意見の対立を刺激し、コンセンサスを形成するという作業が必要だが、これが難しい
5つの神話と現実
神話 意思決定は最高責任者が行う
現実 組織の複数者による同時並行的活動が必要
神話 意思決定は会議室で行われる
現実 1対1の会話、少人数で行われる
神話 意思決定は知性の行使である
現実 社会的、情緒的、政治的プロセスの複合体
神話 分析してから決定する
現実 非直線で展開し、問題を特定したり選択肢を分析する前に解決策が現れることが多い
神話 行動する前に意思決定する
現実 時間の経過とともに発展し、選択と行動の相互作用的プロセスで進められる
なぜ意思決定が難しいのか
1 リーダーの姿勢
2 偏った情報処理
3 認知の硬直性
4 身内意識
5 組織の防衛的姿勢
2章:決定する方法を決定する
建設的な対立とコンセンサスの形成を管理する条件を整える
ビッグス湾事件で失敗したケネディの反省
1 通常の手続きに関する規制や序列を忘れる
2 自組織の利益代表ではなく懐疑的なゼネラリスト
3 中堅社員と部外の専門家の招へい
意思決定プロセスの4C
Composition:メンバー構成
専門知識、実行する人、信頼できる腹心、多様性
Context:規則やルール
構造的、心理的背景の理解
Communication:情報交換、選択肢や評価の仕方
コンセンサス手法、6色ハット発想法、弁証法的討議と悪魔の代弁者
Control:介入の程度、リーダーの役割
自分の立場を明確に、見解の伝え方、議論への介入
3章:硬い壁と柔らかい壁
率直な対話と討論を阻む要因を学ぶ
硬い壁:経営陣の人事構成、上下関係の複雑さ、業務分掌のあいまいさ、組織の構造面
柔らかい壁:身分の相違、用語体系、考え方
警戒信号
・会議が静か、上司の顔色を伺う、大量の資料、長時間オン説明、同じ顔触れが牛耳る、現場の声が届かない、結論が別の場で決まっている、上司に気を使いすぎている、批判や反対を気にしている人がいる
4章:アイデアの衝突を促す
高度な意見の対立を促す方法
1 ロールプレイ
他の人の立場にたって考え、発言
2 シナリオ分析
将来からスタートして現在に至るまでを考える
3 概念モデル
汎用化したモデルや枠組みを作る
4 ポイント・カウンターポイント
2チームに分けて弁証的討議をしたり、悪魔の代弁者になる
陥りやすい落とし穴
1反対する人を飼いならす
2ハブ・アンド・スポーク型で会話する
3質問・反対の時間を無くす
4閉じこもりと両極化を促してしまう(小チームでの討議時間を長くする)
5見せかけの精度を追及する
5章:対立を建設的に解決する
感情的にならずに意見を戦わせるか
警戒信号チェック
1 相手の意見を理解しようとする質問が出てこない
2 新たな情報を探そうとしない
3 他人の意見から自分の提案を改訂しようとしない
4 不明瞭な資料について解説を求める声が出ない
5 同じ主張が声高に繰り返される
6 提案に不安があることを認める人がいなくなっている
7 積極的に発言するのが苦手な人が討論に参加しなくなっている
①討論の前→②討論の最中→③討論の後
①ルール(Rule)→②再設定(Reframe)→③反省(Reflect)
①役割(Role)→②再説明(Redescribe)→③修復(Repair)
①尊重(Respect)→②再検討(Revisit)→③記憶(Remember)
新しい枠組みを与える質問
なぜ?
なぜだめなのか?
もし~だったらどうなるか?
もしあなたならどうするか?
どうすれば最もよくなるか?
6章:優柔不断の力学
組織が優柔不断のためにマヒ状態に陥る理由
文化:組織内のすべての物事の処理の仕方や、問題に対するメンバーの取り組み姿勢と考え方について、それが当然だと考えられている前提
優柔不断の力学
討論と分析→うわべだけのコンセンサス→水面下でのロビー活動→実行のとん挫、意思決定のやり直し
模範となる行動の手本を示し、建設的な対立を奨励し、なおかつタイミングよく効率的に会議を締めくくることが、文化を変える第一歩
7章:正しいプロセスを追及する
プロセスの公平さと妥当性
同意していない人でも実行活動に積極的に協力するようなプロセス
見せかけの相談
事前に意思決定→複数の選択肢を作成する→チームに相談→自分の結論に誘導→意思決定
意見を尊重する姿勢
・プロセスのロードマップを準備
・公正な物事の見方を強調
・積極的に意見を聞く
・意思決定の根拠を説明
・意見をどのように反映したのか説明
・謝意を表明
プロセスの妥当性を維持する
1 情報:情報を平等に提供
2 選択肢の準備:形だけの選択肢を回避する
3 正しい分析:評価と主張を切り離す
8章:実行につながる決断
紛糾している討議を、意見の発散と収束の相互作用で管理する方法
小さな成功を積み上げて締めくくりに結び付ける
発散と収束を繰り返す
問題→発散→討議→収束→行動
中間合意を得るのが重要
・目標と目的に合意
・前提に合意
・決定基準に合意
・条件付きで合意
・不測事態への対応で合意
最大の武器は信頼
9章:自制心をもって導く
リーダーは意思決定のプロセスを作り、影響力を行使し、方向性を与える
答えではなく、それを導き出すプロセスが重要
重要なのは、答えではなく質問
▼前回のブックレビューです。
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