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2023年 98冊目『デジタルネイチャー』

松岡正剛塾AIDAに通っています。

その課題図書でした。

いやー、楽しい本でした。

AIDAでの課題、この本を読んで重要だと思うポイントとその理由を以下のように書きました。

1 P12 僕は今、感覚器の環境要因による機能不全を、電信系・外部記憶装置・モニターといったテクノロジーで補い、それを身体の一部のように感じながら進んでいる。その世界に手触りはなく、音と光の仮想的な情報から実在を感じ取っているに過ぎないが、カーナビに表示された電子の地図は、僕にとっての第二の山道であり、信じるに足る<計数的な自然>なのだ。その反面、本当の自然であるはずのフロントガラス越しの風景は、どこかリアリティに欠けている。それは僕が信じている<計数的な自然>を追認する二次情報、体感としての<映像的なもの>に過ぎない

今、僕の信頼は、静止軌道上の衛星から送られてくる情報とデータベースに託されている。この<計数的な自然>への信頼は無意識的だが、深く、そして疑いようがない。

⇒常日頃感じている感覚(意識)が適切な文章になっている

⇒意識も脳が作ったものであるとするならば、容易にコントロールできる可能性が高い

2 P18 東洋文明では、言語を超越する認識のあり方を、長い歴史の中で発展させてきた。だが、西洋近代知に支配されたこの社会は、その非言語的な本質を言語的に定義しなければ批評性を得られない矛盾を生み出した。この<言語>という<フレーム>によるゲームは、不完全な解釈によって常に成立しえない可能性がある。しかし、近年の計算機技術の発展は、言語を介在せずに現象を直接処理するシステムを現実しつつある。

⇒まさにLLMがそうであり、東洋文明の深さと最新テクノロジーがくっつくことで新しい可能性が見出せるかもしれないから

⇒ビジネスでも組織の暗黙知が重要であり、野中幾次郎さんは、これをSECIモデルで表出化させることを理論化されました。西洋でも認められている数少ないビジネスモデルです。何かヒントがあるかもしれません(暗黙知のまま移転し、形式知化し、結合し新たな知を生み、それを個人が習得する)

3 P52 テクノロジーによる<近代>の定義-「エジソン=フォード境界」の制約を乗り越えうる技術は、近年、次々と現れている。それはデジタルネイチャーの実現を促すキータームでもあるのだが、その中でも特に重要になる概念が、「体験の自動化・三次元化」と「生産の個別化」だ。

⇒前者をこのように整理したことが無かったので。学びになった。

⇒グラスと自動運転を同時にカテゴライズして、体験の自動化としているところが、私は発想が無かった。

4 P64 今日、知的生産に携わる人間は、時間労働によって身体的に疲労するのではなく、頭脳の処理による負荷で疲労している。問題は、「時間」よりも「演算ストレス」であり、近代が「タイムマネジメント」の時代であったのに対して、現代は「ストレスマネジメントの時代」なのだ。そこで求められるのはストレスをマインドセットから除外し、いかにストレスフリーの環境で働くかという発想だ。1日の時間を直方体型に切り分けるのではなく、それらを柔らかな線でつなげて成り立つように、我々の思想を切り替えていく必要がある。

⇒この発想が無かった。私自身の意識のポインターがまだまだ近代のタイムマネジメントにあったので。

⇒自分の意見や発見や疑問:タイムマネジメントの本を書こうと考えていたのですが、この観点も視野に入れる

5 P86 「End to End」の原則で、データと目的さえセットすれば、AIの数理的・解析的性質に知らなくても問題は解けるようになってきた。AIは「End to End」という特性によって、我々の世界を「魔術化」しつつある。

⇒これで多くの事が解ける可能性が高まっている

⇒今回の意識と情報のAIDAもこの技術で解けるのか?

6 P168 「実質」が優れている点は、コストが低いことだ。コストも容易で、複数の人間で同じ体験を共有できる。それに対して「物質」の最大の長所は解像度の高さだ。そして実質/物質に共通して内在しているのが情報で、これを第三の実相「本質」であると考えることもできる

⇒情報の1つの定義であり、本質であると考えられるから。

⇒コンピュータを介在にしてリアル、バーチャルを訳すとこのような言葉になるのは発想もなかった。

7 205P <精神>は人間知能と機械知能の融合体として表現され、社会構造は<自然>へと溶け込む。人々は世界を認識するときに、それが「自然」なのか、あるいは「計算機による自然」なのかを意識することはなくなるだろう。

⇒情報と我々の意識の新しい関係を表現している。

⇒現状であれば、まだまだ「意識」しているが、今後はそこの「意識」が無くなるのかどうか。

▼前回のブックレビューです。

▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。
よかったら、手に取ってみてください。

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