見出し画像

2016年 93冊目『財務省と大新聞が隠す本当は世界一の日本経済』

▼以下は2016年に中尾隆一郎のFBに投稿された内容です。

トンでも本かと思い手に取ったのですが、逆に、なるほど!と思いました。

33のQ&Aで日本の実力が分かります。

もし、この本を読んだ方で、このAnswerが間違っているのだと言う方がいたら、ぜひ教えて頂きたいです。

まえがき から衝撃的です。

日本政府はGDPの2倍の借金を抱えており、その金額は1000兆円。これを国民1人当たりに直すと約830万円になる。

日本は、破産するかもしれない。と国民の不安を駆りたてているからです。

しかし、同じ日本政府が700兆円近い資産を持っていることを知る人はあまりいません。

これは、人口が3倍で経済規模が4倍のアメリカの政府資産が150兆円であることから、その大きさが分かります。

これを指摘すると、そんな事を言っても、資産は道路や空港であって換金することが出来ないと言う人が必ずいます。

※私も漠然とそうだと思っていました。

しかし、政府資産のうち「現金・預金」「有価証券」、特殊法人への「貸付金」「出資金」などの金融資産だけでは300兆円あるのです。

これを見ると、25年度末の資産は652兆、26年度末は679兆。27兆増えています。

現在の財政赤字は大変で、消費増税しない限り日本は滅ぶくらいに言っていますが、資産は27兆増えています。

同じく連結でみると、流動資産だけで1年で60兆円以上増えているのです!

筆者は、資産に対する負債の倍率を計算しています。

04年125%だったのが、12年155.5%まで増加しています。

しかし、15年には130.2%まで回復(減少)しているのです。

少し、データを調べてみると、579兆円は金融資産で、換金できそうなのです。

驚いたのは、そのうち128兆円は外国為替資金特別会計です。

これは為替介入の資金プールですが、変動相場の日本でこれだけの額は不要です。

外国でも、この規模の介入資金を持っている国はないそうです。

減税もできるのです。

とは言え、借金があるのは事実です。

Q日本の借金は完済しないといけないのですか?

Aいいえ、実は返す必要はありません。

とあります。

これは人の借金は(基本的に)死ぬまでに完済しないといけないのですが、国は死なないという事なのです。

では、野放図に借り入れができるのかと言うとそうではありません。

最低限の条件があります。

それは、公債のドーマー条件と言うそうです。

名目GDP成長率>名目公債利子率

つまり、借金の増えるスピードより、収入の増えるスピードが速い。という事です。

この不等式が成立すれば、借金は減っていくのです。

Q危機を煽る経済官僚は、経済のプロなのですか?

Aいいえほとんどが法学部出身です。外国では、普通、経済のテクノクラートは経済博士号を持っています。

ある年の財務省キャリア36名中30%11名が経済学部、しかも大半が学卒なのです。

事務次官で見ても、20年で経済学部は1名、残りは全員法学部です。

ちなみに、新聞記者も同じです。
日経新聞でさえ、学部・学科を問わないとあるそうです。

Q少子高齢化が進む日本はこれ以上成長できないのですか?

Aいいえ、できます。すでに明確に成長しています。

グラフが書かれています。

平均人口増加率をX軸に、1人当たり平均実質GDP成長率をY軸にして国をプロットしています。

グラフの決定係数は0.1462ですので、14.62%しか説明していないことが分かります。

同じく、出世率と名目GDP成長率では、17.1%。

一方、物価上昇率と名目GDP成長率では、59.69%になるのです。

Q消費税を1%増税すると、2.5兆円税収がアップするのですか?

A税収トータルで見ると、必ずしもそうではありません

日本の増税は3回。1%あたり増税で2.5兆円として、実際はどうだのかを見ると

1989年 0→3% 7.5兆円見込み→5,2兆円(▲2.3兆)

1997年 3→5% 5.0兆円見込み→4.5兆円(▲0.5兆)

2014年 5→8% 7.5兆円見込み→2.4兆円(▲5.1兆)

Q GDPが1%増加すると、税収は1.1%アップするのですか?

A いまはGDPが1%増加すると、税収は3%以上増えます

過去10年間の税収弾性の平均は7.5になり、7.5%以上増えているのです!!

Q 高齢化社会において、社会保障費の増大は、避けられないのでしょうか?

A いいえ、そんなことはありません。財政破たんで医療崩壊した夕張市のお年寄りの寿命が伸びました

これ以外にも、

EUのマネジメントが何が難しいのか?(固定相場、自由な金融政策、自由な資本取引、3つを同時に実現できない)

中国の景気低迷が起きた時の影響(実際に起きているので、仮定の話ではなく、現状の状況として考えればよい)

など、視点が広がります。

いやー、目からうろこの本でした。お勧めです。

▼前回のブックレビューです。

▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。


この記事が参加している募集

#読書感想文

188,357件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?