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2016年92冊目『リーダーの本義』

週刊新潮の記者、デスク、副部長をされて独立された門田隆将さんの本です。

この方の本を初めて読みましたが、好きな文章を書く方でした。

短い文章なのに、すごく臨場感がある内容を書ける方です。

大きなトラブルが起きた時にリーダはどのように行動するのか?

平時にあるべき姿を説くことが出来る人はいます。

しかし、乱時にあるべき姿を説き、実行できる人は限られています。

あるべき姿=本義 を大トラブルが起きている時に実行できるリーダと、できなかったリーダの話が載っています。

前者のリーダとして

・東日本を壊滅から救った東京電力福島第一原発所長 吉田昌郎さん

・第二次世界大戦で戦地に残された日本人を救った陸軍中将 根本博さん

・イラン・イラク戦争で、イランに残された日本人を救った伊藤忠イスタンブール支店長 森本たかしさん

など

後者のリーダとして

・三菱自動車、東芝の経営者

について書かれています。

福島第一原発所長の吉田さんの話は読んだことがあったのですが、本当の話が分かっていませんでした。

本社から海水での冷却にNGと言う指令が来ていたそうです。

官邸から(間違った情報から判断し)海水を入れると、爆発するので冷却を止めろと指示が行っていたのです。

表面的には、止めると回答して、実際は現場に、継続を指示していたそうです。

もし、冷却が出来ていなかったら、福島第一の5基の原発と近くにあった第二の5基の合計10基が爆発していた可能性がありました。

本社は、官邸が間違った指示をしていると分かっていたにも関わらず、現場の冷却をすると言う判断を止めようとしていたのです。

バカな官邸の意見に迎合したのです。

それを、現場は、無視して実行したわけです。

この話を読むと(これが正しいとすると)、東電の本社首脳部と当時の官邸は最悪だったと言うしかありません。

第二次世界大戦で敗戦直後の根本中将の対応も凄いです。

満州では、日本軍がすぐに武装解除したため、残された日本人はひどい目に合います。

シベリアなどで数年過ごした方も多かったですし、それ以前にたくさんの方が亡くなりました。

ところが、内蒙古の中将であった根本さんの部隊は、残された日本人が中国中央部に戻るまで武装解除せず、戦い続けます。

本部からの武装解除も無視し、軍隊の本義は、国民を守る事であると言うところに立脚して行動するのです。

そのおかげで、日本に戻れた方が圧倒的に多かったのです。

イラン・イラク戦争の時にイランに残った日本人を助けるために、政府は日本航空に依頼しました。

しかし、日本航空は、安全が確保できないと行かないと実質拒否します。

気持ちは分からない事はありません。

その時に、伊藤忠のトルコの責任者であった森本さんが動きました。

トルコの首相(森本さんととても強い関係があった)に依頼してトルコの飛行機で日本人を助けてもらうのです。

意味が分からないですよね。

イランにトルコの方もいました。トルコの方々を助けるための飛行機に1台加えてもらったのです。

言うのは簡単ですが、凄い交渉を実現させたのです。

いやー、凄い話です。

それがコンパクトにまとまっていて

分かりやすい文章になっています。

▼前回のブックレビューです。

▼新著『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』です。


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