入院日記_20240413

医者に勧められるがまま外泊許可を取り、予定もないのに部屋に帰ることになった。リハビリだ。朝から調子が悪く、8時には既に頓服を飲んでいた。こんな状態で外に出るのか? もう1錠飲んでから出ようとしたら、今ちょうど効いてくるはずだからと止められた。
外にまったく緊張しなかったと言えば嘘になるが、薬のおかげか線路を見ても山手線が揺れてもかなり平常心に近く居られた。薬ってすげー。ロラゼパム。よわよわのやつ。それでも。
家の近所にあるコーヒー屋でブレンドをテイクアウトした。来たことはあるが決して常連ではないので、豆の種類も飲み方の種類も多くて注文に手間取っていると、コーヒー大好き! といった感じの若者が1から説明してくれる。酸っぱいよりは苦いのが好きだと言ったら勧められた中の、2番目に苦いのを選んだら普通に酸っぱくて失敗したなと思った。逆張りせずに1番を選べ。お前はそれでいつも馬券を外す。淹れている間他のコーヒー大好きそうな若者が色んな豆のテイスティングをさせてくれたので諸々嗅いだが、高い豆は発酵させていることが多く不思議な匂いがした。結局安いブレンドの香りに安心する。コーヒーのアロマがどんなフレグランスよりも落ち着くのであるが、それはカフェイン中毒の名残だろうか。
さて帰ってきた。暇だ。暇すぎて不安に支配される。いつもの何かへの予期不安でも希死念慮でもなく、ただ胸の中をモヤモヤとしたチャコールグレーが渦巻いて、窒息しそうになるのだ。薬を飲むか迷って、とりあえず気を逸らそうと、この前あったライブの、調子が悪くて行けなかったDay2のほうの配信を見始めた。
現地のよい席で見たDay1のほうを覚えていたいのに、Day2を何度も見たら記憶が上書きされてしまいそうで悲しい。だがDay1を見たらもっと「ない記憶」が作られてしまう気がして嫌で、リアルタイムで見るためだけにDay2のみ買ったものの、結局もったいない精神で見返している。いや、単に金ないだけなんだけど。あと、Day1は途中で抜けたから見られなかった曲を後から見ときたい気持ちと、見たら悔しくなって泣いちゃうよという気持ちが戦って、後者が勝った。Day2はそもそも金払ったのに行けなかったのでもっと悔しいはずなのだけれど、意外と私の中ではその場に居たのに見られなかった>チケットがあるのに行けなかった、のようで。
見終わったからご飯を買いに行く。近所のタイ料理カフェに初めて行ってみてテイクアウトした。コーヒーを飲んで、カフェ飯を買って、好きなコンテンツのライブを見て、天気がよくて、葉桜が綺麗で、のどかな住宅街で、こんなに幸せで人生は楽しいのに、何がそんなに嫌なんだろう。食べてみたら海老カレーがとっても美味しくて、私は日頃辛いカレー以外を親の仇かくらいに憎んでいるのだが、辛くなくても全然好きな味だった。これ以上ないほど穏やかな休日だ。毎日休日なことを忘れれば。
暇なので競馬を見始める。藤岡康太さんのご冥福をお祈りいたします。以前も語ったが、訃報に触れるのは苦手なので、その一言とお気持ちだけ中山の献花台の方向に手向けたい。そして、マイネルグロン。パドックだけ見て、ギリギリで4-5の馬単を買おうとしたのだが締め切られて、結果よかった。跛行ということで心配だ。ここで終わる器ではないだろうから、じっくり休んでしっかり帰ってきてほしい。障害競走には特につきものだし、あまり大事ではなかったようだが、落馬や競走中止もあって少し心が痛んだ。全人馬無事であることは本当に尊い。

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