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vol.001 【レポート】こども本の森 中之島×国立国際美術館 エクスチェンジプログラムvol.1 「こども本の森を美術で巡るおとなの夜」

開催日時:2021年2月6日(土)18:30〜19:30
収録場所:こども本の森 中之島
登壇者:前川千陽(こども本の森 中之島館長)/安來正博(国立国際美術館学芸課長代理)

2月6日(土)にこども本の森 中之島にて、国立国際美術館の学芸員・安來正博氏とこども本の森の館長・前川千陽氏が「美術と絵本」をテーマにトークイベントをおこないました。
今回は緊急事態宣言発令中のため、実来場はなく、オンライン配信のみでの開催となりました。

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美術作品を扱う安來氏の視点から語る「美術と絵本の関係性と絵画の歴史」、そして絵本と児童書に造詣が深い前川館長が語る「文章と絵で生み出される絵本独自の魅力」。
両者それぞれの絵本へのアプローチの仕方に違いがあり、興味深い内容でした。

安來氏が紹介する絵本は、日本の現代美術家による以下の絵本3冊。
『もこ もこ もこ』(作:谷川俊太郎 絵:元永定正 出版社:文研出版)、『ともだちがほしかったこいぬ』(作・絵:奈良美智 出版社:マガジンハウス)、『ゆめらいおんはゆめをみる』(作・絵:村上隆 出版社:Kaikai Kiki)。
絵と文章による相乗効果が新たな表現を生み、作家の知られざる内面が物語を通じて見えてくるのではないかと安来氏は読み解きます。

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また、宗教絵画から現代絵画への変遷と、児童画の文脈から前衛芸術、版画やデザインなど複製芸術、戦後の芸術運動などについて触れながら、それらと絵本の繋がりを解説いただきました。

次に前川館長が、絵本の楽しみ方をお気に入りの2冊を紹介しながら語ります。
まずは中国の伝統的な画法〈水墨画〉で描かれた、力強い絵が印象的な『ウェン王子とトラ』(チェン・ジャンホン作・絵 平岡敦訳)。
表紙から見返し、扉、そして物語のはじまりへと、絵本全体の構成をじっくりと紐解いていきます。

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もう1冊は、鮮やかな絵が印象的な『いっぽ、にほ・・・』(作:シャーロット・ゾロトウ 絵:ロジャー・デュボアザン 訳:ほしかわ なつこ 出版社:童話館)。
三原色で描かれた表紙から感じられる春の暖かさ、タイトルに込められた意味を前川館長独自の捉え方で説明されました。

解説終了後は、こども本の森 中之島がどのような施設なのか、館内を歩きながら紹介。
本の魅せ方や、美術館との共通点などが話題になり、こども本の森で凝らされた工夫と、それぞれの館の役割について触れ、対談は終了しました。

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今回のトークイベントを聞き、それぞれ違った視点で語られる「絵本と美術」の持つ奥深さに改めて気づかされました。
美術と絵本を通して、中之島が芸術文化発信の地へと発展していくことが楽しみです。

レポート執筆:池田ひかる(こども本の森中之島広報)


【アーカイブ公開中】
トーク全編の映像は、YouTube公式チャンネルにて公開中です。
(2021.2.15現在)
↓ 映像はこちら

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プロジェクトのウェブサイトはこちら:
クリエイティブアイランド中之島公式ウェブサイト

https://nakanoshimalab.jp/


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