中野じゅんじゅん

東京で暮らすゲイのお話を綴る昭和産のゲイです。

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「中野住み・筋肉質・ヒゲ・短髪」の話

「中野より良い街なんてたくさんあるのに」キッチンの小さな窓を眺めながらiQOSを吸いつぶやいた。そう、13年前から今まで僕の価値観は全く変わっていない。「中野住み・筋肉質・ヒゲ・短髪」のデッキにしがみつき、気づけば中野と新宿から抜け出すことが出来なくなっていた。 18歳で仙台から大学入学を機に上京、都下にキャンパスがあるMARCHに指定校推薦で入りました。親兄弟との関係も良好で、高校ではバドミントン部でレギュラー、顔も悪くないと思います。ただ女性と恋愛することは出来ず、中学

    • じゅんじゅんの話④

      仕事が炎上していて更新が滞りました。先日息子孝行なお母さんの話を書きました。 僕の家も母の意向で子供の頃ゲームNG、マンガNG、クレヨンしんちゃんNG、ドラマNGでした。友達の輪にも入りづらかったし、今でも連絡を取れる小中高の友達は片手の指でおさまるぐらいです。僕の青春はリアルとセックスに明け暮れた大学4年間の不純な思い出で、4年間で18年間抑圧された若さを男の中に出し切りました。 作中のお母さんは、本人的には息子孝行な良い母親だと思ってるんですよね。息子目線だとそうでは

      • 息子孝行なお母さんの話

        新しいポケモンが出るたび、母さんにゲームをねだったのを思い出すよ。不自由で苦しかった22年間を、僕は11年で好きな色に塗り替えることが出来た気がするんだ。 今年33になる息子がいるんですけど、結婚もしないでフラフラしてるんですよ。22で実家を出て、主人の葬式以外地元に帰ってこなければろくに電話もよこさなくて、大事に育てた甲斐がありませんよ。 母さん、親ガチャって言うけど、僕はハズレ引いたと思ってるよ。母さんは僕の好きなもの、やりたいこと、全部握り潰してたんだよ。 私は遅

        • じゅんじゅんの話③

          こんにちは。中野じゅんじゅんです。 踏み台の話のあとがき的に綴ります。 踏み台の話は、オオクボさんと友達のケイスケくんのお話です。ケイスケくんにとってオオクボさんは歪んだ関係の友達、対してオオクボさんにとってケイスケくんは大事な友達。騙しているケイスケくんと、騙されても気づかないオオクボさんのどちらが幸せなのでしょう。 彼ら2人は幸せの向く方向が異なります。ケイスケくんの幸せは自分に向いていて、オオクボさんの幸せは周りに向いています。他者の幸せを素直に喜べないケイスケくん

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        「中野住み・筋肉質・ヒゲ・短髪」の話

          踏み台の話

          オオクボさん、お前のあだ名。あの女芸人に似てるからオオクボさん。「さん」までセットでお前のあだ名。見た目もあだ名もキャッチーでいいよな、おかげでH1会だと知らないやつ居ない人気者だし。あ、勘違いすんなよ。モテてんじゃなくて、笑われてんだからな。ここ大事だから忘れんなよ。 俺がオオクボさんと初めて会ったのはH1会だったな。魚や一丁の20人ぐらいの集まり、盛り上がってるのは幹事とイケメンのテーブルで、残りはビミョーなヤツの寄せ集め。ビミョーなメシ食いながらビミョーな話して、まぁ

          じゅんじゅんの話②

          おはようございます。中野じゅんじゅんです。 割と魂を込めて書いたのが「カミングアウトがうまくいかなかった話」です。優しくて大好きな両親に、これまた優しくて大好きな彼氏との同棲をカミングアウトを試みたのですが、ちょっとしたことで失敗に終わる話です。 今年のお正月に、NHKのEテレで実際に流れていたドキュメンタリーを題材にしました。トランスジェンダーの杉山文野さん、そのパートナーの女性、精子提供者のゲイ男性の3人が子育てを行うドキュメンタリーです。 僕はこの番組を今年帰省先

          じゅんじゅんの話②

          じゅんじゅんの話①

          こんばんは。中野じゅんじゅんです。 ちょっと懐かしいTwitterゲイ小説を書き始めた35歳、ゲイのおじさんです。 今日は僕がTwitterゲイ小説を書くことにした背景をお話します。 まず、一番最初に投稿した「中野住み・筋肉質・短髪・ヒゲ」のお話は 僕が思った以上に多くの方に届いたことに驚いていて、読んでくださった方に感謝しています。万バズとはいかないまでも、思いつきで書いた誤字脱字だらけの小説がAnalyticsデータ上26.1万人に届き、1.4万人がチラ見程度でも何らか

          じゅんじゅんの話①

          ageHaでつかまえたセフレの話

          マドモアゼル信子様お元気でいらっしゃいますか。20代だった僕は信子様がご視察されていたアゲハで東長崎に住む立教生をつかまえて、彼の家でダークルームの続きをしました。 彼は170/68ぐらい、お互いはぐれたフリをして友達を撒き東長崎から徒歩10分ぐらいのアパートに向かった。玄関は出しっぱなしのスニーカーで踏み場はなく、キッチンには洗ってないコップとカップ焼きそばの容器、出しっぱなしの2リットル飲料が置いてあった。 部屋のカーテンを閉め、ベッドに座り二人でタバコを吸った。「来

          ageHaでつかまえたセフレの話

          モラハラ男子の話

          君は僕が付き合った人の中で一番かっこよかったよ。着ているものも、住んでいる部屋も、仕事も、友達も、頭の上から足の先までいつも完璧だったね。僕は君が不完全なところを見たことがなかったよ。一方君はいつも僕の不完全さに不満げだったよね。イライラさせてごめんね。 友達が見せてくれたGrindrをやりたくて、新宿の東口の、ロッテリアの隣にあるソフトバンクショップで僕はiPhone3GSを買ったんだ。 僕は妹と2人兄弟で、北海道で生まれて、北海道で育って、そのまま北大でコンクリート建

          モラハラ男子の話

          カミングアウトがうまくいかなかった話

          お母さんへ。誕生日おめでとう。去年の年末は、急用で年越し前に東京に戻ってしまってごめんね。東京はいま、普通の風邪みたいにコロナにかかるから、欠員を埋めるのに忙しくて今年の誕生日は顔を出せそうにないです。プレゼントを送ります。元気でね、カズキ。 笹塚のマンション。白い壁、鉄の扉、僕より年上の建物に、僕と同い年の彼と住んでいる。ベランダの窓沿いに置いたテーブル、彼がテレワーク用に背伸びして買ったハーマンミラーの椅子に座り、日曜の昼僕は、地元沼津の母に手紙を書いた。明後日は母の誕

          カミングアウトがうまくいかなかった話

          サポ活男子の話

          顔と体に恵まれたのはマジ親に感謝してます。身長は173cm、ゲイって相手も男じゃないですか。身長コンプ持たせちゃうんで、背が高すぎてもダメなんですよ。一重まぶただけど目鼻立ちは薄くない、歯並びもおかげさまで矯正要らずです。 物心ついた頃には母子家庭で、横須賀の市営住宅でスナック勤めの母と暮らしていました。小さい時は団地って友達が近くに住んでて気に入ってたんですよね。ゲームボーイ持って駐車場横の公園で集まってました。 母はよく「市営団地から引っ越したいね」と僕に言いました。

          サポ活男子の話