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スポーツカメラマンという仕事

初回は自己紹介をしたので今回は私がこれまで多くの現場で撮影をしてきたスポーツを撮る仕事について書いてみようと思います。一言でスポーツと言っても置かれている立場や現場によって仕事内容は大きく変わります。

私の場合はスポーツ報道に関わる仕事が中心でした。よくテレビ中継などに写るカメラマン(スチール写真)の一人です。サッカーやラグビーはピッチ上、野球ならばカメラ席にいる人達になります。誰よりも選手に近い場所で大きな望遠レンズを構えるので特等席で試合が見れて羨ましいと言われたりしますが、私は試合を見るという感覚は全くありませんでした。大事なシーンを撮り逃しても「もう一回お願いします!」とは言えません。

スポーツカメラマンは動体視力が必要と言われたこともありますが、それは少々違います。他の方はわかりませんが、私は予測と決断を何度も繰り返しながらシャッターを切っていました。「見て撮る」ではなく、「感覚で撮る」イメージです。見てシャッターを押すとどうしても一歩遅くなってしまいます。撮影後にカメラの背面モニターで写真を確認すると撮りたかったシーンが映っていいないことがほとんどです。例えば野球の場合、バットにボールが当たったのを確認してからシャッターを押すと画面の中にはボールはなく、バッターが振り終わった瞬間が映っています。そうならないために試合の流れ、ボールカウントなどを総合して次を予測しながらシャッターを切るという決断をします。もちろん予測が外れることもあります。失敗したら気持ちを切り替えて次に何でリカバリーが出来るのかを考えてシャッターを切ります。

1球目は絶対にバットを振らないだろうと思ったらホームラン。。。。という事態もありました。。。。

私の経験不足も影響していますが試合を見て楽しいと感じる余裕が私にはありませんでした。一つだけピッチレベルやカメラ席でなければ感じられないことがあります。それは歓声です。前から後ろから大きな声援がよく聞こえました。選手が試合後のインタビューで「皆さんの声援が力になりました!」と言いますが、これは本当だと思います。ゴールが決まったシーンで割れんばかりの歓声に押されてシャッターを切ったこともあります。こんな体験が出来たのはこの仕事のいいところです。

試合が終わるとバックの中にあるノートパソコンに写真データを入れて急いでハイライトを選び出し、色と明るさの調整とキャプション(短い説明文)をつけて電送となります。急ぎの時は撮影後30分から1時間以内に作業を済ませて会場を後にします。セレクト作業も慣れるまではとても大変です。撮影者の視点から写真を見る側へシフトしなくてはなりません。自分だけがいいと思う写真だけではなく、多くの人の目に触れた時に納得してもらえる写真が必要になるからです。ただ、撮影時と同じように自分のカラーを出すことも忘れたくない。。。そんなジレンマを抱えながら写真が映し出された画面と向き合います。少ない時で10点程度、多い時は50点くらいを送ったら仕事が終わります。

猛暑や極寒の日はじっと耐えながらチャンスを待ち、大雨でも傘をささずにレインウェアを着込んでカメラを構え続けます。

現在はスポーツ報道関係の仕事は以前よりも少なく、ポートレートが中心になりましたので上記のようなシーンでの仕事は少なくなりました。

スポーツ観戦に行かれる方がいらっしゃいましたら現場にいるカメラマンにも注目してみると新しい発見があるかもしれません。

中西祐介

webサイト https://www.nakanishiyusuke.com/

インスタグラム https://www.instagram.com/y_nakanishi_photo/

プロフィール https://www.nakanishiyusuke.com/about











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