版と校訂
今バッハの無伴奏パルティータ3番に取り組んでいる生徒さんがいます。
楽譜購入に迷ったようで、ベーレンライターの原典版とガイド用にガラミアン校訂のインターナショナル版もしくはコンクール指定でたまにあるシェリング校訂のショット版を提案しました。
そこでショット版を選択されたのですが、お母さんからこんな質問が。
「校訂ってなんなんでしょうか?指と弓が違うことで何があるんでしょうか?」
いい質問です。
いろんなことが言われますが端的に挙げていくと、
・作曲家の書いたそのまま、原典版に沿うのが昨今のスタイルとして一般的。
・時代趣味が反映されているとはいえ、校訂版をちゃんと読み込む...つまり、なぜこの弦でこの指で、このスラーなのか、ということを自分で紐解くことで、バイオリンの仕組みがよくわかる。そして何よりも、その校訂者がどう弾こうとしたか、がわかります。
※たまに、なんでこんな指なんだろう?校訂者の癖かな?と思っても、数年経つとアッ!なるほど!と気づくことも多いです。
つまり、自力で考えてみることと、伝統的な弾き方の変遷をたどることで、楽器の扱いとフレーズの描き方を深めることができます。
その音量で、その音価で、そのテンポで、その音程で音が出ていればOKなら打ち込み音源と変わりません。
より良い方法を自分で確かめて選んでいくために2冊、なんですね。
僕の場合、最初の譜読みはバッハもパガニーニもガラミアン校訂のを使います。
理由の一つは、ガラミアンは弓使いの名手カペーの門人で、弓による多声の音の描き出し方が素晴らしいと僕が感じるから、です。
校訂者のメソッドさえわかる、それもスゴイことだと思いますね。
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