見出し画像

繁盛飲食店が通販で売れない理由。

もうこんなに長くコロナ禍が続いて飲食店の経営者は本当に大変でしょう。
私の顧客も既存店売上は相当落としていて、コロナ前の前々年比70%ならいい方。居酒屋業態や宴会需要業態、料亭業態においてはやっていなかったランチを始めても前々年比60%が最高といった状態。もう普通にやっていたら存続不可も時間の問題です。

こんな時にどうすればいいかという方法はいくつかあるのですが、今日はその中で「通販」という切り口について書いていこうと思います。
もちろんこんな時期でもやれることは通販の他にもあります。デリバリーやテイクアウトもそのひとつでしょう。コストコントロールで出費を抑えて耐えるという方法もあるとは思いますが、飲食店経営というビジネスはコストコントロールの間違いが直接売上ダウンに影響しやすい業種なので無理にやらない方がいいでしょう。
どっちにしろコストコントロールだけではこの難局は回避できません。無駄を省く断捨離はすべきですが、目を向けるべきは「入ってくる売上を増やす」こと。それに尽きます。

しかしこのコロナ禍において「入ってくる売上を増やす」とは難易度が高すぎるし、そもそもそれができない状況だからこうなっているのですから簡単ではないのかもしれません。でもそんなことを言っていても何も変わりません。良い結果というものは行動したものにしか表れないのです。


飲食店の集客ファネルを考えてみる。

今日は「飲食店の通販事業」について書いているので 話しをあっちこっちいかせたくたくないのですが、こんなコロナ禍でも「やれること」はまだまだあります。
以前、「コロナ時代の今こそ、飲食店が通販を始めるべき理由」という記事を書いていますので併せてこちらもぜひ読んでください。なぜいくつかある「やれること」の中で私が「通販」を勧めているかがわかると思います。

「集客ファネル」というのは、インターネットを使って集客するビジネスでは当たり前に考えられている用語で、簡単に説明すると 
見込み顧客を引き付けて、店舗の顧客になるように設計された漏斗モデル と言ったところでしょうか。文字通り「漏斗(ろうと)」を英語でファネルと言いますので漏斗のように段階を設計しながら集客を獲得していく方法でもあります。

飲食店の集客ファネル

飲食店経営における集客ファネルなんて、まあ聞いたことがありませんからたぶんほとんどの飲食店はこんなことを考えていないでしょう。
でも私の顧客は何年も前からしっかり教えています。飲食店の集客は いいかげん変わらないといけないのです。


飲食店の集客は、いつの時代も媒体まかせ。
みんなに知られている大手チェーンが結局勝ってしまう土壌。

--------------------------------------------------------------------

・新聞折り込みチラシ打ってドン! (まだ新聞をみんながとっている頃?)

・ポスティングやってドン! (結構最近まで)

・Hotpepperやぐるなびなどに掲載してドン!(スマホ対応しているから時代に合っているという思い込み)

・新しい媒体やプラットフォームができたらそこにお金を支払って期待。そして効果が出なかったらやめるルーティン!

UberEatsを見てください。売れてる店はみんなが知ってる大手チェーンだけ。外食プラットフォームはそんな構図が出来上がっている。


飲食店は店舗運営が大変だから今までは仕方がないと思っていました。
実際に私は飲食店の現場の大変さを知っています。教育、原価、人件費、ワークスケジュール、QSCA、コストコントロール、仕込み、クロージング....
どれも大変な業務。店長さんは店でやることがいっぱい。
だから集客は「媒体まかせ」だった。それが長い間の飲食店の習慣。
ある意味「平時」には仕方がないと思えるところもありましたが、今はコロナ禍という「有事」。

「仕方ない」では店が無くなります。


飲食店が通販を始めることを生活者はどう思っているか。

ここからは私の経験談なので、もしかしたら「ウチは違う」と思う方もいるかもしれません。あらかじめ統計的な話しであることをご理解くださいね。
ただ統計データだけではなくその理由やロジックもお伝えしていこうと思っています。

飲食店が通販を始める」。この言葉を聞いてどう思ったでしょうか。

「食べ物の通販はよくあるから自然なことだと思う」

「店と同じ厨房でつくれるならいいと思う」

「家であの店の料理が食べれるなんて最高」

うちのアンケート結果はだいたいこんな感じに集中していました。
つまり、一般消費者たちにとって「飲食店の通販商品」は結構普通なことだということです。逆を言うと「え〜〜〜??」とはならないわけです。
違和感なく受け入れられる。それが「飲食店が通販を始める」ということの世間の声です。

理由は何かというと、それは通販(EC)という「買い方」の中に「食品」はいつも中心ジャンルだからです。楽天やYahooなどのECモールでも「食品」が最も売上を稼ぎます。
実際に「食品」は通販商品の中で最もセールス市場の大きいジャンルなのです。年間売上市場規模は約2兆円。2兆円です!とんでもないBIG市場です。

飲食店の市場規模は約14兆円くらいあるのですが、コロナ禍でどこまで落ち込んだか。。まだ正式なデータが出ていませんが聞くのが恐ろしいです。
その点「通販市場」は急成長市場でもあります。消費者にとって違和感がないのであればこの2兆円市場は魅力的だし、コロナ禍の飲食店によっては無視できない市場だと言えますね。


でも「売れない店」が続出。その理由は?

皆さんの周りにこういう人(飲食店経営者)いませんか?

・何年か前に「楽天市場」にショップを出したけど全然売れなくて半年で撤退したよ〜

・通販って「広告費」がとんでもなく高いって聞いたから怖いよ

・通販っていろいろ費用が掛かって、相当売らないと儲からんらしいよ

私が飲食店オーナーに「通販事業」を勧めるとだいたい上記のどれかを言ってきますね。「楽天 = 売れない」「広告費が高い」「儲からん」
これ  飲食店通販の3大イメージって呼んでます。

結論から先に言うと、
「楽天=売れない」は、「売れるショップを作っていなかっただけ」だと思うし、「広告費が高い」は、確かに店舗の経費区分と比べると正しい情報だけど、そもそも建物が無いバーチャルSHOPな訳だから「そりゃ実際の店舗よりも広告費は必要に決まってるでしょ」と言いたい。
その代わり他の経費で店舗よりも相当下回るものもありますよね。賃料とか他にもね。
そして最後の「儲からん」に繋がるのですが、商品原価にもよりますが通常ウチが仕掛けた飲食店通販事業は利益率は圧倒的に通販の方がいいです。
例えば、店舗の利益率 10% → 通販ショップの利益率 20〜30%なんてざらです。

「楽天=売れない」・・・売れるショップを作っていないだけ。食品通販の市場は2兆円規模。つまり「売り方」の問題。

「広告費が高い」・・・確かに広告費だけをみると店舗の広告費よりも高い。でもバーチャル店舗だから広告は必要経費と考えれば家賃等に吸収できるはず。

「儲からん」・・・儲からないのではなく「売れていない」の間違い。売れていれば利益率は通販の方が相当良いはず。


飲食店がはじめる通販は 利益を出しているショップが本当に少ない。
それは事実です。だから「撤退した人たち」が「通販は売れない」と結論付けているのです。そうしてその失敗を「通販というビジネスモデル」のせいにすることで自己防衛しているのです。でもまあその気持ちはわからないわけではありませんが。でもその言葉を間に受けてはいけません。
マーケットとして通販は大きな成功要素があるし、
利益としても充分に利益率を高く設定できる。

ただし、これは飲食店が製造販売する「付加価値型商品」であるべきです。
どこにでもある価格訴求商品(つまり”安さ”が売りの商品)では利益は薄利になります。1,000円で売って利益が10円にしかならない商品を 100個売っても利益は1万円にしかなりません。


安値競争に陥りやすいモール型通販

通販でいうところの「モール」というのは、楽天市場やYahooショッピングなどの「通販プラットフォーム」のことを言います。

通販モールに出店すれば、とりあえずそのモールにはお客さんがたくさんいるわけです。しかもポイントをいっぱい持った人がわんさかと。

モールだからいろんな競合ショップと比較されます。欲しい商品を扱っているショップをいくつも見た中で「これ」と思う商品を買い物かごに入れるのです。

さて、このお客様。誰のお客様でしょうか。
あなたの店のお客様? いや違いますね。その人は「楽天(モール)のお客様」です。場合によっては「買った店の名前」さえ覚えていない場合があります。あなたのショップで購入したことすら、よくわかっていない。それがモールの恐ろしいところです。

そしてモールで買い物をする人の特徴は「ポイントを持っている」「安く買えるから」「安い店を探せるから」。
つまりどちらかというと「価値」より「価格」。
安さ・お得さ・ボリュームが購入する重要な3大要素のようです。

そして「安さ」において飲食店の食品商品が 大手工場で大量生産された食品に価格で優位に立てるわけありませんね。
100円と1,000円くらい違うわけです。いくら「手仕込み」でも「真心込めて」いてもこの価格差は難しく、つまり大手と「同じやり方では無理」ということを意味するのです。

いくら飲食店であってもある程度「価格優位性がある」というのであればモールは何か安く買えるものを探している人の数はめちゃくちゃいます。モールで勝負してもいいでしょう。
しかし普通の飲食店が通販を始めるなら「モールでは売れません」。
売れたとしても損益分岐点を上回ることは難しいでしょう。例え100万円売ったとしても経費で200万円くらい出てしまいます。モールとはそういうビジネスモデルなのです。


独自ECで、独自ブランドと価値訴求を同時にやる

ECの良いところは「伝える場所がある」ところです。
百貨店の棚にただ置いてあるのと違い、その商品の特徴やベネフィットまでも伝える術(すべ)がある。そこが付加価値商品が売れていく土壌です。

付加価値商品とは、競合商品と比べて独自の強みがあってそれによって競合品よりも多少高価であっても「その付加価値」が売れる要素になる。という商品のこと。
つまり、それを伝える術がなかったら売れるはずがない商品のことですね。

例えば高島屋の化粧品売り場に2,000〜3,000円の商品が並んでいる場所があるとしましょう。その2,000円の商品の隣に 10,000円の商品があったとして買おうとしますか?しないと思います。まずびっくりしますね。「高いな」と感じるでしょう。

要は「比べられない売り方」が付加価値型商品には必要なのです。その商品の価値を先に知ってもらうことが重要です。その上でその「価格差」までも許容範囲だと思ってもらえるような「導き」が鍵なのです。

その点でECサイトやLPにはそれを伝える術があります。
そこにこそ戦略的な労力を注ぐのです。そこにこそノウハウを注ぎ込むのです。

飲食店の通販の場合、多くの間違いは「リアル店舗と同じように売ろうとすること」です。要するに店で出しているチラシと同じようなような構成にしてしまうから売れないのです。
ネットにはネットの売り方がある。それを知らないままで通販を始めようとしてしまうから売れないのです。

飲食店の売り方というのは、店舗から半径数キロの商圏に対して告知する方法で、来店させることを目的としています。
一方通販は、買ってもらうことが目的。ショップに来てもらっても買い物かごに入れてもらっても「離脱される」ことがあります。
そこだけみてもそもそも違います。通販の方がどちらかというと「購入までの行程が段階的」なのです。きめ細かいのです。
ザクっとっとドーーーんではダメなのですね。

逆を言うと、そこを意識してしっかりやると売れるようになります。
実際にうちの飲食店の顧客は売れるようになっているのですから。


繁盛店こそ売れない理由

地域の飲食繁盛店には地域の評判というローカルエリアにおける強みがあります。だから来店訴求がパターン化しているようですね。
例えば、ポスティングを20,000部も打てばウェイティングができるとか。
顧客リストにDMを郵送すれば週末にワンピーク作れるとか。

飲食店の「集客」は単純明快です。地域というフィールドで勝負するわけだからそれで良いのかもしれません。コロナ前までは。

繁盛する店は集客にそれほど困っていなかったから、コロナ禍の今 どうすれば良いのか見えないのだと思います。通販も同じ。
通販には「集客のノウハウ」が必要不可欠です。だって店はバーチャルだし立地もないので。ご近所さんもいないし。

私たちの経験で言うと、繁盛店さんは「良い商品」を作る能力は高いけど「集客」がとても抽象的で雑。それが印象です。
だから通販で成功しない店が多い。
あくまで私の経験的な考えであることは百も承知ですが、こんな時代だからこそ「集客」を具体的な行動レベルで考えてみたらどうでしょう。

そしてもう一度言います。
今、通販で売れない飲食店は、未来はもっと売れなくなります。
通販はその重要な一手であり、ネット時代(5G時代)における売上獲得の仕組みを知る「学びがいっぱい」なのです。

今こそ通販でもうひとつのセールスチャネルをつくりあげましょう。
飲食店の未来はネット集客にどう対応していくかにかかっています。



それでは今日はこの辺で。
またお会いしましょう。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?