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Lyrics #70 一粒の砂を君の手のひらに

「Lyrics #68 戦争だけが歴史に刻まれるだろう」のあとがきで、亡くなられた指揮者・小澤征爾さんのことにふれた。

東日本大震災の後、小澤さんは被災地に心を寄せて、主催する音楽アカデミーを見学するプログラムに、現地の中高生を招待されているが、何人か知り合いの子らが、その時お世話になっていた。
そんなこともあって、小澤さんは僕の心から離れることはない。

僕が在籍していた会社にも、岩手県沿岸部の出身の方がいて、宮古市や釜石市、陸前高田市で家族を失っている。
プロ野球ロッテの佐々木朗希選手もこの震災で父と祖父母を亡くされている。陸前高田市の小学生だった時に。
僕の妹は宮城県に居たが、あとわずかのところで津波の被害からは逃れることができた。なのであの震災は自分事のように忘れることはない。

以前の作品の中で、僕の両親の骨を岩手県一関市の樹木葬で埋葬したことを書いたが、それ以来、大船渡線・三陸線沿いは何度も訪れている。そして往路復路で被災された各地を訪れる機会もあって、今もあの震災を昨日のことのように話す現地の人の声を聴くたびに、知らな過ぎる自分を情けなく思うことがある。
死者・不明者数 22,000人超のあの大震災も、誰の記憶にもなくなるほど年月を経て、そして風化していくのだろうか・・・。

きっと小澤さんのことなので、能登半島地震のことにも心を痛めていたのかもしれない。
僕は微力にもならないが、機会がある都度また被災地を訪れて、ひとりでも二人でも、心を寄せてあげたいと思う。

今日は、小澤さんの好きな「悲しい味のする夕日」を背景に、ひとつの歌詞を作りました。
まだ心の中で指揮する姿を見せてくれる小澤征爾さん。
いつまでも、そのままで。


Lyrics #70 一粒の砂を君の手のひらに

鮮やかな夕日の空が 不意に
時間を止めて 
どうしてここに来たのかも 忘れるほど
・・・
君の歩くこの砂浜は
悲しい記憶 (おもいで) ばかりだと
潮騒が語りだす
小さい頃に見た夕焼けと
この夕焼けは違うんだねと
君がじっと見つめている そして
僕はひと握りの砂を
手のひらに
一粒の砂を 君の手のひらに


あの日から何年たった のかと
思ってみても
心の傷を残したままで 今日もまた
・・・
君の流す涙はここで
寄せては返す波となり
潮騒のレクイエム
一番辛い君が何度も
ここに来ている そのわけは今
潮騒が教えてくれた 僕に
僕はひと握りの砂を
手のひらに
一粒の砂を 君の手のひらに


僕の慰めはこの砂の
たった一粒だけど
潮騒のレクイエム
一粒の砂を また 君の手のひらに



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