見出し画像

新種の「流氷の天使」見つかる【投げ銭note】~「クリオネの新種、富山湾で発見」(共同通信/47NEWS)~

1.本州の海でクリオネ見つかる

クリオネは、そのファンシーな外見から「流氷の天使」とも呼ばれ、今まではオホーツク海のほう。北海道のほうを中心に、発見されることが多かったようです。

そのクリオネ、今回、新種が見つかったのは、北陸地方の富山湾だそうで、ニュースを聞いた私は驚いてしましました:

●「クリオネの新種、富山湾で発見」(共同通信/47NEWS2017/10/12 12:36)

北陸地方の冷たい富山の海のクリオネ。そもそも、クリオネって、どんな環境に生息しているのでしょうか?今回、見つかった新種は、どのようなところにいたのでしょうか?ニュースを読んでいきましょう。


2.「クリオネの新種、富山湾で発見 巻き貝「流氷の天使」」、共同通信/47NEWS)から分かるクリオネ

さっそく、ニュースを見ていきます。

クリオネの新種、富山湾で発見 巻き貝「流氷の天使」
2017/10/12 12:36
 富山大は12日、巻き貝の仲間で「流氷の天使」と呼ばれるクリオネの新種が富山湾内で見つかったと発表した。富山大によると、新種は富山湾の300メートル以深に生息する固有種の可能性が高いとしている。これまでに世界で確認されているクリオネは4種で、昨年も約100年ぶりに新種がオホーツク海で見つかっていた。
(「クリオネの新種、富山湾で発見 巻き貝「流氷の天使」」、共同通信/47NEWS)”

地元の富山大学の発表によると、今回の新種は、昨年の新種に続き、世界で確認されている五種目のクリオネに当たるようです。なお、「新種は富山湾の300メートル以深に生息する固有種の可能性が高いとして」、報道されています。

新種の写真が掲載されていましたので、転載します。上部と中央部が黄色に近いオレンジをしていますね。


そもそも、クリオネはどのような環境に生きているのでしょうか?そして、どうして本州の富山湾に生息しているのか、ニュースがその疑問に答えてくれています。

“ 新種は体長約5ミリ。クリオネは主に北極や南極周辺の冷たい海に生息しており、富山湾の水深300メートル以深は特に水温も低いため、クリオネが生息する環境に適しているとみられる。

 昨年8月、水深約千メートルの海水から約30匹を初採集、今月も約100匹を採集した。

(「クリオネの新種、富山湾で発見 巻き貝「流氷の天使」」、共同通信/47NEWS) ”

本来、クリオネは北極や南極の冷たい海に棲む生き物です。その冷たさが、「富山湾の水深300メートル以深は特に水温も低いため、クリオネが生息する環境に適して」いたと判断されたようです。

ちなみに、調査は昨年夏と今年の採取が報道で分かっており、このことによって、クリオネが地球の南北極地の海でなくても、適した水温の場所があれば、生息している種がいることが解明されました。


3.クリオネの生態と新種のこれから

さて、富山湾の新種については、更にこれからの研究による、生態の解明が待たれます。新種ということで、私が心配なのは、オホーツク海の種と同じように、販売目的で採取しに来る業者や、一般の人が出てくることです。

すでに知られているオホーツク海などに生息するクリオネは、ハダカカメガイ種で、北海道では一般の小瓶に海水ごと入れて、持ち去り、飼育しているケースもあるようです。成体であれば、肉食で、上部の6本のバッカルコーン(口円錐、触手)で、小動物を捕食します。

少し、脱線しますが、昔、タレントの中川翔子さんが、ある番組でクリオネを紹介した時に、バッカルコーン!と頭の上で両手を開くようにしたアクションは、インパクトがありました。

(画像:バッカルコーンを伸ばすイメージ)

さて、このクリオネの種は、一度の捕食後、一年は飢餓に耐える強さをもつと言われています(「種-ハダカカメガイ、クリオネ」、wikipedia、https://ja.m.wikipedia.org/wiki/クリオネ) それゆえ、飼育の際は、水温の保てる冷蔵庫にクリオネの入った水槽や小瓶を入れ、飼うことができるという、サイトや飼育セットをネットで見かけました。倫理的に、飼育の面から疑問符が浮かびます。

今回の新種は、日本の本州の富山湾で発見されました。果たして、バッカルコーンで捕食するのか、どのくらい生きるのか、など今後、生態が解明されることに期待しましょう。そうしながら、乱獲が起こらないことを心から願っております。

おしまい。

*本記事は、投げ銭制を採用させて頂いております。もし、お読みいただいて得るものがあったとか、少しでも暇つぶしになったとか、ありましたら、寄付をして頂けたら、執筆者の励みとなります。

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

仲見満月の「分室」では、「研究をもっと生活の身近に」をモットーに、学術業界のニュースや研究者の習慣や文化の情報発信をしております。ご支援いただくことで、紙の同人誌を出すことができますので、よろしくお願い致します!