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【書評】橋本徹 - 異端のすすめ 強みを武器にする生き方 (SB新書) -

おすすめ度:★★★★☆

橋本徹氏の新刊。自身の半生を振り返りながらの人生指南書といった感じでしょうか。この書籍の根底にあるのは「行動をとり続け、そこで圧倒的な努力をしろ」ということに尽きると思います。

ただ、その努力の仕方にも彼なりの哲学や経験からくる方法論がある。

- きっかけはわからない。だからこそ新しいことにチャレンジし続ける

失敗を恐れずにチャレンジする、というと普通のメッセージに聞こえますが、ここで重要なのは「何がきっかけで人生の方向性が決まるかはわからない」ということです。氏は自身がメディアに出るきっかけとなったのは偶々代理で声がかかったラジオであったと語っています。そこで断っていたらその後のテレビでの活躍、政治家としての道もなかっただろうと。

これからの時代、行動力がすべてを決します。 がんばる気が失せてしまって、今いる場所でくすぶり続けるくらいなら、転職は何度繰り返したっていい。  けれども行く先々では、とにかく一生懸命やってみること。この姿勢を失わずに、どんどん行動し、色々なことを体験していけば、「これで勝負する」「完全燃焼できる」と思える仕事に必ず出会えるはず。

一方で、氏は徹底的に行動することは推奨していますが、何かに固執し続けることに対しては否定的です。

量をこなす努力が自己目的化してはいけません。量をこなすのは、あくまでもウリを明確化し、自分の商品価値を高めるため。ある程度の量をこなしてみて、自分の商品価値が高まっているという手応えがまったく感じられない場合には、仕事をどんどん変えればいいのです。

「徹底的にやる」ということと「常に新しいことに挑戦する」というのは一見相反するものに見えるかもしれませんが、相反する2つのものを同時に実現していくことは成功者の共通点のような気がします。

変化が激しく、今日の仕事が明日にはなくなっているかもしれない。そんな時代に生きる私たちにとって、一定の場所に滞留せずに常にチャレンジし続けることはとても重要です。様々なことに挑戦し、徹底的にやる。それをやり続ける中で、真の天職が見つかり、人生の意味が見いだされるのでしょう。

- 具体的な人生設計よりも今を真剣に、本気で生きる

本書の後半では自身の成功をこう振り返っています。

僕をここまで運んできたのは、明確かつ具体的な人生設計ではなく、常にチャレンジし、チャンスをつかみ取ってきた行動力だったと思います。
大事なのは、いかなるときでも「今このとき」です。 「今このとき」をどう生きるか、いかに一生懸命になるか。その積み重ねによって人生は作られていく。 20 年先のビジョンがあろうとなかろうと、人生で重要なことは、目の前の瞬間、瞬間を、一生懸命に生きられるかどうかなのです。

ひょんなことから人生が自分でも想像していない方向に動き出した。そこで「いつ死んでもいい」と思えるほどガムシャラに向き合ったこそ、今の橋下徹が完成されたのだと。

思い切って一歩を踏み出すこと。踏み出した先の「今」に全力を注ぐこと。それこそ氏が半生を通じて得た生き方であり、成功哲学なのでしょう。


おまけ:独自のマネジメント手法にも言及

個人的にはマネジメント・部下の管理の項目が非常に参考になりました。雇用の流動性が高まり、働き方も多様化したこの時代だからこそ、「部下の進捗管理」や自由の裏にある「義務」の重要性をうたう氏の言葉からはリーダーとしてのバランス感覚の良さを感じます。

できる上司は、部下の仕事の進捗を常に管理しています。進捗管理がきちっとできていない組織は、仕事が途中で放ったらかしになり、動きが鈍くなります。進捗管理漏れが不祥事事案につながることもある。しかし、きっちりと進捗管理をしようと思えば、上司は常に部下の仕事の状況を頭に入れておかなければなりません。これはとても面倒で大変なことです。


【さいごに】今に集中して燃えるような人生を!

長編では全くないので、サラッと読めると思います。若い人はもちろん、年齢関係なく燃えるような人生を送りたい全ての人にお勧めできる良書です。

これを読んで、すぐに今自分がやりたいことをまず何かをやってみる。仕事でも、趣味でもいいと思います。そしてそれに徹底的に没頭する。うまくいけばさらに没頭すればよいし、また別の何かが見つかればそれを本気でやってみる。

もしかしたら、燃え続けるだけで人生はとても有意義で振り返った時に納得がいくものになるのかもしれませんね。

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