見出し画像

部下は上司が育てるものなのか?

最近、読んだ本の中に中々考えさせる内容があったので、少し長いが引用したい。

若いうちは厳しく叩いてこそ大きく成長するのだと、自分もそのように会社に育ててもらった上司たちは考えているので、自分も同じように鬼軍曹として鍛えてあげようと思ってやり過ぎると、相手がポキっと折れてしまうケースが多いわけです。
問題は、なぜ上司や先輩が若手を鍛えるものだとみんな思っているという点です。それは、相手がなんもできない何も分からない素人だから、少々手荒にでも鍛えてあげないと使い物にならないからです。
なぜそんな鍛えないといけないような素人をわざわざ使うのですか?と、ジョブ型社会の人であれば聞くでしょう。ちゃんと資格を持ち、その仕事ができると確認した人を雇えば、そんな無駄なことをしなくてもいいのに、と。
そう、ここに、ジョブ型社会とメンバーシップ型を隔てる深くて暗い断絶の川が流れているのです。

要するに、「新卒≒経験のない人間」を雇って、自分の経験を前提に育てる世界と「中途≒経験のある人間」を雇ってフラットに仕事をする世界とで、メンバーシップ型とジョブ型をうまく現わしているのである。

メンバーシップ型においては、「自分もそのように会社に育ててもらった」「自分も同じように鍛えてあげよう」という価値観が溢れている。つまり、この組織で育った自分こそが正解であり、自分と同じように育てれば、部下もこの組織で成功するのだという考えである。
そして、この上司の価値観に当てはまらない人間は、「相手がポキっと折れてしまうケースが多いわけです」と表現されるように、その組織からこぼれ落ちていくのである。

さて、上司側は「自分と同じように部下を育てなければならない」と当たり前のように思うわけだが、部下側はどうだろうか?

恐らく、部下側も「自分を育てるのは上司だ」と思っていないだろうか?
仮説になってしまうのだが、部下側も自分の成長を上司に投げてしまっている側面があるのではないかと考える。
その背景には、部下自身も早くこの組織のメンバーとして受け入れられなければという考えがあるからだろう。

ただ、これはメンバーシップ型、ジョブ型の優劣ではなく、メンバーシップ型の一つの側面に過ぎないと考える。ただ、「キャリア自律」という視点に立った時には、かなり足を引っ張るように思われる。

決して、ジョブ型が良いとは思わない。だけど、メンバーシップ型が幸せかというとそうも思わない。そんなことを考えさせてくれる本であった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?