中村俊輔が一本のフリーキックでスコットランドに残したもの。
noteの企画で「サッカーの忘れられないシーン」というものが始まったので、サッカーの話をしたい。
結論からいうと、忘れられないシーンは15年ほど前、セルティック時代の中村俊輔が決めたマンチェスターユナイテッド戦のフリーキックである。
最後にyoutubeのリンクを貼っておくが、今見ても全身が震えるほどの衝撃的なゴールである。
その理由が3つあるので、順を追って説明したい。
3時45分からの戦い
当時、私は大学生であり、とにかく時間だけはあった。
サッカーが好きで、毎週水曜日と土曜日に眠い目を擦りながら試合を見ていた。キックオフは3時45分。むしろ、そこまで起きることが目的になっていたような気がするのだが、日本人選手の試合を中心に海外サッカーを見ていた。
中村俊輔の試合もよく見ており、所属していたセルティックはスコットランドではかなりの強豪なのだが、4大リーグ(イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア)のチームに比べるとチーム力は劣り、チャンピオンリーグになるとほぼ攻められる展開になっていた。
しかも、中村俊輔は圧倒的なスピードがあるわけでも、ドリブルで勝負して抜いていくわけでもない。攻められる展開では、どうしても見せ場が少ないのである。
ただ、フリーキックを蹴る瞬間については、いつもドキドキさせてくれた。
誤解を恐れず言えば、眠い目を擦りながら過ごす90分のうち1回か2回訪れるフリーキックにドキドキしたいがために、中村俊輔の試合を見ていたのである。
そして、2006年11月のチャンピオンズリーグでのドキドキは一生忘れられないドキドキになった。
マンチェスターユナイテッド
名門中の名門であり、世界中の誰もが一度は聞いたことがある名前だと思う。
当時は、クリスティアーノ・ロナウド、ルーニー、ギグス、ファーディナンド等、世界を代表する選手がいた。そして、中村俊輔がゴールを決めたのは、ファンデルサールという、当時世界No1と言っても過言ではないオランダ代表のゴールキーパーだった。
それに比べて中村俊輔が所属していたセルティックは各国の代表選手はいるものの、選手の能力から言えば圧倒的に劣っていた。
そのような状況の中で、一人の日本人が歴史に名を残すフリーキックを決めたのである。
絶妙なシチュエーション
少し解説するとチャンピオンズリーグの予選ラウンドは同じチームがホームとアウェイで夫々試合をする。
私が、忘れられないシーンとして取り上げているのは2試合目の方なのだが、実は1試合目でも中村俊輔はフリーキックでゴールを決めている。
しかもゴールキーパーが一歩も動けない程のコースもスピードも完璧なゴールだった。
当然、プライドの高いマンチェスターユナイテッドは、2度と同じ日本人にフリーキックを決められないように対策をしてきていたはずである。
だから、1試合目に比べてゴールを決める難易度が相当上がっていたはずなのである。
それにも関わらずゴールを決め、しかも2試合目は、セルティックのホームであった。セルティックサポーターの記憶に残るゴールだったのは間違いないはずだ。
中村俊輔が残したもの
その試合、中村俊輔が決めた1点でセルティックはマンチェスターユナイテッドに勝った。
セルティックサポーター、いやスコットランド人は、セルティックがイングランドの名門チームであるマンチェスターユナイテッドに勝ったことを一生覚えているだろう。
そして、その試合を思い出す時、唯一の点を取った日本人のことも思い出すのである。
サッカーは単なる娯楽なのかもしれないが、1人の日本人が1つのフリーキックを通して、スコットランド人の記憶に残り続けていることは、娯楽を超えたフットボールの魅力なのだと思う。
※試合全体のハイライト映像なので時間が無ければ8分位から見て欲しい。
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