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村弘氏穂の日経下段 #9(2017.5.27)

おそろしい国への旅で100ドルを隠してくれた土踏まずさま

(東京 市岡 和恵)

 靴の中に忍ばせた100ドル。なんだか小説のようなシーンだが、結句のサイレントエリアへの畏敬によって至極のリアリティが宿った。無事帰還したからこそのエピソードだろう。100ドル紙幣に描かれているのは、おそろしくなりつつある国家の建国の父ベンジャミン・フランクリンであるところに、ブラックユーモアが隠されている。彼はたしか、財布の中身を盗まれないところへつぎ込め、と云っていた。



ピアスの日耳たぶすべる脱脂綿にさらわれそうで膝がしら閉じる

(那覇 久里 しえ)

 少年少女期から大人へと変わっていく中で、初めて「何か」をした日というのは鮮烈な記憶として脳に焼き付く。その何かの一つである、初めて耳に穴を開けた日の臨場感がリアルに伝わってくる。耳から膝へと読者の視点をズラす見事なカメラワークによって、変貌のデザイアへの一歩を踏み出しながら、乙女がクローズアップされている逆転現象が面白い。



「隣り合い出土された」のキャプションで恋仲と思われがちな化石

(東京 小野田 光)

 学術誌や新聞記事やテレビのニュースであってもキャプションが、それぞれの読者の好みへと誘導してしまうことがある。そこに出現した史実は、きっと恋愛や悲哀へと導くことを好む人が多いだろう。しかし、その美しいストーリーのリアリティは定かではない。発掘された化石たちの、何千年もの歴史の中の数十年の人生が、同時期に重ねっているとも限らないのだ。これは近年、歴史の教科書がコロコロ変わってしまっていることへの警鐘でもあるのかもしれない。

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