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女子選手における非接触型ACL断裂の発生の可能性を最小限にとどめるには(プライオメトリックトレーニングは、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比を改善、減速時のハムストリングスの反応筋力を向上、着地にかかる力を低減、外反および内反トルクを減少させる)

前十字靭帯損傷を最小限にとどめるには

解剖学上、神経筋上、あるいはホルモン上の差異のみによって、女子のACL(前十字靭帯)断裂発生率の高さを説明できるわけではなく、Hakkinenらは、準備期に行われるトレーニングの総量やタイプにおける違いも、男子と女子の間に認められる下肢筋力とパワーの差異をもたらす可能性があると主張しています。

実際、このような差異が、女子におけるACL断裂の主たるメカニズムを促し、突然の停止、鋭角なカッティング、着地、ピボットを行う際に、非接触型の傷害を引き起こします。

諸研究により、特異的ドリルを利用して誤った着地メカニズムを修正し、選手の能力を漸進させるようなプライオメトリックトレーニングは、ハムストリングスと大腿四頭筋の筋力比を改善し、減速時のハムストリングスの反応筋力を向上させ、着地にかかる力を低減し、外反および内反トルクを減少させることが可能とされています。

これによって、女子選手における非接触型ACL断裂の発生の可能性を最小限にとどめることができます。

プレシーズン期におけるプライオメトリックトレーニングの例

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プレシーズン期におけるプライオメトリックトレーニングは低強度から高強度のドリルへと進み、接地回数を段階的に増加させます。

その場での両側性1回ホップから始まり、その後、ボックスジャンプ、連続ジャンプ、シングルレッグホップへと段階的に進みます。

選手を次の段階へ進めるかどうかの判断は、適切な着地メカニズムを行使し、トレーニングセッションに耐えられるかどうか(下肢の痛みの有無)によります。

選手はコンディショニングやウェイトリフティングエクササイズを行っており、非監督下で即席のゲームを行うこともあるため、プライオメトリックセッションは週1回と限定して回復を図ります。

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