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サッカーにおけるプライオメトリックトレーニングとパワー(ジャンプとホップの跳躍高が増加、接地時間短縮、力の立ち上がり速度向上、方向転換能力に寄与する)

筋収縮の熱力学

1938年、Hillは筋収縮の熱力学に関する最初の実験で、2つの要素からなる筋のモデルを提示し、収縮要素(CC:Contractile Component)と、そのCCと連続した直列弾性要素(SEC:Series Elastic Component)があると説明しています。

その後数年のうちに、このモデルに並列弾性要素(PEC:Parallel Elastic Component)といわれるもうひとつの弾性要素が加えられ、3つの要素からなるモデルに拡大されました。

第3の要素は、活動していない筋線維の受動的な力を説明するために付け加えられたものになります。

このモデルは、個々の具体的な構成要素を指すというよりもむしろ筋活動の特徴を説明しようと試みるものとされています。

したがって、各要素はモデルで示された特徴を有する、多くの異なる筋構造で構成されます。

このモデルのCCとは、活動中の、すなわち収縮している筋の要素または構造(筋線維:アクチンおよびミオシンフィラメント)を指し、CCは筋の収縮中に能動的な力を発揮します。

サッカーにおけるプライオメトリックトレーニング

プライオメトリックトレーニングを通してSSCの利用が改善させることにより、ジャンプとホップの跳躍高が増加し、接地時間(GCT:ground contact time)が短縮され、力の立ち上がり速度が速くなり、アスリートの方向転換能力に寄与します。

さらに、VoigtらとVerkhoshanskyの報告によると、無駄のないスプリント(すなわち、SSCのメカニズムの効率的な利用)により、身体は力学的なエネルギーの約60%を取り戻すことができるため、ランニング効率が高まります。

これらの調査結果はサッカーに限定されるものではありませんが、サッカー選手に特異的な多くの競技動作に直接転移可能であると想定されます。

トレーニングの漸進

Flanagan&Comynsは、以下の段階を経たトレーニングの漸進を推奨しています。

• 伸張性負荷と正確な着地のメカニクス(ドロップランディングなど)を習得する。
• 短いGCTを促しながら、低強度で高速のプライオメトリックトレーニング(アンクリングなど)を行う。
• 短いGCTと最適な跳躍高に重点を置いたハードルジャンプやデプスジャンプ(ドロップジャンプなど)を行う。

筋力とパワーがサッカーパフォーマンスの成功の決定因子であること、また傷害予防にも役立ちます。

最善の成果をもたらすには、3レップずつ5セットを最大限として、セット間に最低3分の休息を撮って行うことによって達成できるとされています。

この種のトレーニングを、オフシーズンの筋持久力とシーズン直前の筋力およびパワーというように、ブロック化して組み立てる賢明です。

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