雑学note【第10回】「らちがあかない」の「らち」って何?
「らちがあかない」という言葉は、らちがあかないときによく使われるけど、「らち」って何だろう? 知らずに使っていた節があった。
ちょいと調べてみた。
「らちがあかない」は漢字で書くと「埒が明かない」。
で、その「埒」は馬場を囲う柵のことだった。
馬場というのは、例えば競馬場でも馬が走るところを馬場と呼んだりするように、馬に乗ったり、走らせたり、訓練したりする場所のこと。
「埒」は場所を区切る柵。つまり物事の区切りだ。それが「明かない」つまり「わからない」。だから「埒が明かない」=「区切りがわからない」ということで、「きりがない」とか、「物事が片付かない」みたいな意味として、使われているというわけだ。
それにしても、僕みたいな野生のヤギは飼われている馬とは違って、普段あまり「埒」を見る機会はない。なじみがない。だからこそ「埒」って何だろうとか思ってしまう。
「埒」ってどんな柵なんだろう? 「埒」と普通の「柵」は何か違いがあるの? と思い調べたのだが、僕の調べた範囲では特に構造上の明確な違いはなさそうだ。
埒を画像検索しても柵を画像検索しても、いろいろな種類が見つかる。だから雰囲気としては、柵の種類の違いというより、馬場の柵が「埒」なのだろう。
ちなみに駅の改札付近の柵のことも埒と言うらしい。「駅」という言葉、今は電車の止まるところだけど、元々馬をおいて行き来して情報などを伝達するところだったというから、その名残なのだろう。
「彼女がいるなんて、あいつは不埒なやつだ」なんてときも「埒」は使われる。「不埒」は、「無法者」「節度をわきまえない」「礼儀や道理にそむいている」といった意味だ。この場合「埒」を人として守るべき法や道理のようなものにたとえているのだろう。言葉的には、埒に縛られない自由な存在みたいでちょっとうらやましくもあるけどね……。
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