24時間スーパー 深夜便 「レジ」
深夜のスーパーのレジは、基本一箇所しか開けていない。それも、品出し兼務だ。しかし、地方都市の深夜であっても、時にはレジにお客さんが並ぶ時がある。すると当然、もう一つレジを開けることになる。
「お待ちのお客様、こちらとうぞ〜」
レジを開け、声を掛ける。前のお客さんのレジが終わりそうだったからか、次のお客さんが動かなかったので、その次のお客さんがこちらのレジに来た。
レジを打ち始める。すると、
「おいー!俺の番やろ!フザケたことやってんなよー!周り見て仕事せぇよ〜!」
声をかけた時に反応しなかったお客さんが、突然大声を出し、こちらのレジに早足で向かって来ながら、持っていた買い物カゴを床に叩きつけた。
(あれ?声を掛けた時、反応しやへんだのに…)と思いながら、焦る僕。少し冷や汗が…。
カゴから転げ落ちたパイナップルを冷静に拾い、何ごともなかったようにレジを打ち始めるベテランパートタイマーN。すぐに会計終了。
会計を促されたキレた客は、素直に会計機に向かうが、その前で、その客は僕を罵る。
「おいっ、ハゲー、おいっ、こっち来い!」
ハゲやないのに…、と思いながら、会計機へ向かう僕。その客は、怒りながら買い物カゴからポテトチップスを取り出し、「この商品、いくらかしってるか!!」と毒づく。
「いや、知りません…。」首を傾げながら答える僕。
「68円や!」何故か少し焦りながら怒鳴る客。さらに「この中にお前の時給も含まれてるんやろー!」
「ま〜…そうでしようねぇ…。」
「しっかりせぇー!」
(何、急に経営者側に立ってんの?)
これ以上、因縁を付けられないように、下を向いたまま
、その場に立ち尽くす僕。何とも言えない間に痺れを切らした客が、「客が待ってるやろ!はよレジやったれさ!」
「すみませんでした!」
頭を下げ、自分のレジに戻る。
その客が帰ったあと、ベテランパートタイマーNさんが寄ってきて、「あいつはようやりよるねん。前バイトしてたコンビニでも夜中に来て、因縁付けてきたわ。何人かグループがいてな…。何かするかなぁと思って、敢えて声を掛けへんでん。あれ、ワザとやからな。」
「え…。敢えて声を掛けへんだ…???」
「ポテトチップス出した時、金払えって言うかと思ったわ。」
「そんなん言われても、僕は絶対に払わないですよ。」
(笑)
「コンビニでは、因縁付けて店員に金払わしたりしてた連中やから。一回金払ったら味締めて、何回でもやってくる連中や。」
「そうでしょうねぇ。」
今度因縁付けてきたら、とっちめたろ。
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