沢本耕次郎

ある地方都市の24時間スーパーでの出来事や人間模様をエッセイ風に書いてみようと思います。

沢本耕次郎

ある地方都市の24時間スーパーでの出来事や人間模様をエッセイ風に書いてみようと思います。

最近の記事

24時間スーパー 深夜便 「アイデアコンテスト」

 収益力強化及び作業効率アップの為のアイデアコンテストの応募通知があった。採用賞金は、なんと、最高で100万円!  対象者は正社員からパート・アルバイトまで、全ての従業員。  日の出の勢いで店舗拡大を計ってきた弊社も、店舗拡大や売上の頭打ちを感じたのだろうか、作業効率や収益力のアップに主眼を置き換えてきたようだ。  パート・アルバイトにも社員同様の応募権利があるということで、企画力に自信のある僕は、早速、A4一枚に企画を纏め提出。  するとどうだ、提出して数日後に企画内

    • 24時間スーパー 深夜便 「アホとバカではなく…」

       数十年前から、地元に多く在住している日系ブラジル・ペルー人たち。彼らは、24時間激安スーパーには欠かせないお客さん達だ。その夜も多分に漏れず買い物に訪れた奥さんのカゴにはニンニクが…。    私達は、彼らがブラジルなのかペルーなのか、外見からは見分けは付かない。しかしその夜は、なんとなくペルー系だと思ったので、ニンニクのバーコードをスキャナーに通しながら、「アホですね。」と呟いてみた。すると、それに反応してくれ、笑いながら「そ、アホ。ハハハ」と答えてくれた。  スペイン

      • 24時間スーパー 深夜便 「世界を知る④」

         商品のバーコードを通していると、東南アジア系外国人が「○○○○○」と言った。が、外国語だったので解らず、「はいっ?」と聞き返したら、「いや、いいです。」と日本語で返ってきた。    近年地元で増えているベトナム人かと思い、「ベトナム?」と尋ねると、「タイ人。」と言ったので、「コップンカー!」と言うと、少し、ムッとた顔をした。  それに自分で気付いたのか、顔色を戻して、「ありがとう」と行って出ていった。  その後、「なんでムッとしたんやろ?」と考えながら品出しをしていると、

        • 24時間スーパー 深夜便 「これ最高〜!」

           近年増えている、販売会社によるプライベートブランド商品。 全国にチェーン展開している弊社も、多分に漏れず、オリジナルエナジードリンクがある。そして、昨年からは、そのアルコール飲料版も販売が開始された。  ある晩、それを手に持った常連さんがレジに来るなり、「これ美味しいですよね〜!試しに一回飲んでみたら、ハマりましたわ〜!最高ですわ!」と、興奮気味に食いついてきた。  「僕は飲んだことのないんですよ〜。そもそもアルコール自体、夜勤を始めてから、ほとんど飲んでないんです。」

        24時間スーパー 深夜便 「アイデアコンテスト」

          24時間スーパー 深夜便 「世界を知る③」 

           「このお店は忙しいですか?」  品出しをしていると、突然外国人に話しかけられた。  「忙しいですよ。最近は違うけど、何度か同列店舗の中で、売上No.1になったこたがありますから。」と、答えながら怪訝な顔をすると、それに気付いたようで、  「あ、私、このスーパーの〇〇店の従業員です。だから変な質問しました。すみません。」  「あ、そうなんですか! 社員ですか?」  「そうです。社員です。」  「国はどちらですか?」  「ウズベキスタンです。」  「首都はタシケ

          24時間スーパー 深夜便 「世界を知る③」 

          24時間スーパー 深夜便 「物価高の叫び」

           ロシア・ウクライナ戦争が始まって以来、物価高が続いている。  昨夜もレジで、日系ブラジル人と思われるお客さんが、「卵高いよ〜!」と、私に嘆きの叫びを発した。  「この前も、そう言ってる人が居ましたよ。前は2パック買っていたのに、今は1パックしか買えないよ〜!」と、伝えると、  「そうだよ!つらいよ〜!」と、嘆き節。  欲しがりません、終わるまで。贅沢は終わってから。嘆き節だよ人生は。  どこかで聞いたことあるな…。(笑)  

          24時間スーパー 深夜便 「物価高の叫び」

          24時間スーパー 深夜便 「新自由主義世代?②」  

           以前紹介した、新自由主義世代の男性が数カ月ぶりに来店。  「久しぶりですね。」とレジで言われたので、「あれ、なんか雰囲気変わってない?」と問うと、「仕事辞めたんです。前は、仕事帰りやったんで。」  「あ〜、それで会わへんだんや。」  「そうです。来る時間が変わったんですよ。」  「今、転職しようといくつか会社を受けてるんですけど、なかなか採用されないんです。」  「中途採用なのに、入社試験あるとこともあるんですよ!僕は算数苦手やのに、算数の問題出て…。」  「いやぁ

          24時間スーパー 深夜便 「新自由主義世代?②」  

          24時間スーパー 深夜便 「たじろがせる」

           いつも買い物カゴ8割ほど買ってくれる作業着の若いお兄ちゃん。   その日は珍しく、私も時々仕事帰りに買っている、みたらし団子がカゴの中にあった。それをスキャナーに通しながら、「みたらし団子…」と呟く僕に、「それ、安いですよね。」と返事をくれたので、  「いやいや、これ、この前まで5本入りやったんですよ!それが今4本入りになったんです!」  「この前買おうとして、レジに持って行く途中に、あれ?違う商品を掴んだかな?と思って、売り場に戻りましたもん。」  「ほな、そうじ

          24時間スーパー 深夜便 「たじろがせる」

          24時間スーパー 深夜便 「再会」

           「久しぶり〜!」  レジで女性のお客さんに言われた。  「???」  「娘が子供産んでん!」と娘さんと、その赤ちゃんを紹介されるも、まだ「???」の僕に、「〇〇の妹の〇〇」。「その子が子供産んでん!」  「…、あ〜っ! 久しぶりですねー」  「こんな若い人、知らんわ〜と、思ったんですよ。」    「お母さん、若返ってない?」  と、娘さんに話を振ると、僕と初対面の娘さんは、お母さんの興奮度に動揺しながら、「うん」と小さく頷いた。     なんと、2021年6月

          24時間スーパー 深夜便 「再会」

          24時間スーパー 深夜便 「髪を切る」

           以前、迷惑系ユーチューバー「へずまりゅう」のそっくりさんとして紹介したお客様と、久しぶりに遭遇。 https://note.com/nakaishohei0331/n/nadf7dcf34296    気が付くのに少し時間が掛かったなと思ったら、髪を切っていた。  「へずまが、もう引退する、と言ったから髪を切ったのですか?」とふざけ突っ込みすると、「そんな訳ないやん。」(笑)と返され、さらに、「どうせ、また復活するやろ?」とも。  「でしょうねぇ。」「その時にはま

          24時間スーパー 深夜便 「髪を切る」

          24時間スーパー 深夜便 「世界を知る②」

           日本人が英語の発音、特にR、大谷翔平選手がホームランを打ったときに、アナウンサーが日本人がRの発音が苦手なことを揶揄した実況をし、批判されたことは記憶に新しい、が苦手なように、その国々、民族によって、他国語で発音し易い音と、し難い音がある。  深夜に、酔っ払っているのか、ご機嫌な東南アジア系の三人組に、「みそ、どこ?」と尋ねられた。「あ、こちらです。」と案内すると、「みそじゃない。みそ!」と言うので、「これ、味噌やで。」ともう一押し。  向こうは気付いたのか、「ウォータ

          24時間スーパー 深夜便 「世界を知る②」

          24時間スーパー 深夜便 「時給」

           最低時給のアップの波が、昨年秋ぐちから、この24時間スーパーにも押し寄せてきた。  ある夜中、二十歳そこそこの女の子が二人で買い物に来た。レジで一人の子が、「〇〇ちゃん、ここで夜中、バイトしたら?」と言うと、「そうしよかなぁ…。」と返事した後、「ここの時給いくらですか?」と、僕に聞いてきた。  「これ見て。」と、壁に貼ってあるパート、アルバイト募集の用紙を指差したら、 【22時〜6時 11□□円】 とあり、  それを見た僕のほうが、「え〜!3年以上やってる俺より、新

          24時間スーパー 深夜便 「時給」

          24時間スーパー 深夜便 「カタール ワールドカップサッカー スペイン戦 結果」

           夜勤から帰ってきたら部屋に電気が点いていたので、「あ、子供が起きてるな。」と思い、家に入るや否や開口一番、「日本勝ってるで。」と息子に言われ、「ええぇ〜!(歓喜)」とテレビを見る。  2-1、後半30分。攻められているがディフェンスが良い。ドイツがコスタリカに勝ち越し。ドイツが勝てば、引き分けでは予選リーグ敗退になってしまう。勝たなければダメだ。  アディショナルタイム7分。「長〜!」  日本、粘る。ディフェンスに穴がない。「よし、もう少し。」  タイムアッ〜プ!

          24時間スーパー 深夜便 「カタール ワールドカップサッカー スペイン戦 結果」

          24時間スーパー 深夜便 「カタール ワールドカップサッカー スペイン戦」

             決勝リーグ進出の賭かった予選リーグ最終戦。5時上がりの私は、4時開始の試合を、途中から見ることが出来る。  夜10時開始だったドイツ戦、深夜のお客さんは少なかったので、「今夜も少ないだろう、品出しに集中出来る」。と踏んでいる。  日本代表の番狂わせを期待しつつ、深夜勤へ向かう。

          24時間スーパー 深夜便 「カタール ワールドカップサッカー スペイン戦」

          24時間スーパー 深夜便 「カタール ワールド・カップ サッカー」

           日本代表のワールド・カップ サッカー第一戦、対ドイツ戦の前半を見てから深夜勤へ出掛けた夜、24時間スーパーは暇だった。  夜勤明け、早朝、スマートフォンで結果を見る。  2-1日本勝利。  「あれ?」「うそ?」「ほんま?」  家に帰ってすかさずテレビを点ける。当然ワールドカップのニュースを見る。  1点先制される。それは見た。  途中出場、堂安が同点弾! おー。  浅野が勝ち越しゴール! おおー!  ホンマやった…。決勝トーナメントへ行けるかも…。    

          24時間スーパー 深夜便 「カタール ワールド・カップ サッカー」

          24時間スーパー 深夜便 「客として」

           普段は働いているお店に、当然、客として行くこともある。  お昼すぎに買い物に行ったある日、おばあちゃんが、「もっと安いお水あったと思うけど」と昼間のパート店員に聞いているところに遭遇。そのパートさんは、おそらくキャリアが浅いのだろう、「そうなんですか?」「えっ〜っと…」と、あたふたしていたので、 「以前はあったんですよ。25円のが。今はこの37円のが一番安いです。」 と、横から口を挟んだ。  「よく知ってますね!」と驚くパート店員さんに、「僕は夜中にここでパートして

          24時間スーパー 深夜便 「客として」