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古小代コレクションの行方

小代焼中平窯の西川です(^^)


中平窯ギャラリーでは父や自分の作品販売と合わせて、古小代(江戸~明治の小代焼)の展示も行っております。

今回はその古小代コレクションについてのお話です。


ちょっと気が早すぎるような内容ですが、良かったらお付き合いください。




展示中の古小代コレクション



西川智成の希望


30歳手前の自分が考えるには早すぎるかもしれませんが、
私が管理できなくなった後の古小代コレクションについて考えております。

これは何十年後になるか分かりませんが、
私が作陶できなくなり、
かつ コレクションを受け継ぐに相応しい人物や施設が近くに無かった場合のお話です。



私にとっては大きすぎる夢になりますが、将来的には
大阪市立東洋陶磁美術館
又は
東京国立博物館
へ収蔵・展示をしていただければと…。



私が作陶できなくなり、
古小代コレクションを受け継ぐに相応しい人物がおらず管理が出来なくなった時には寄贈できればと思います。

大きなことを言い過ぎかもしれませんが、あくまで個人的な願望ですので大目に見ていただければ幸いです。



せめて白釉茶碗だけでも、
常に人に見ていただける環境に置きたいと思っています。



また、古小代コレクションを受け継ぎたい人/施設があったとしても、

以下のような場合は
絶対に絶対にお渡ししたくありません。

特に歴史は重要で、細川家~上野焼の繋がりから古小代の説明ができることが最低条件です。


・古小代への愛情美意識正当な歴史の知識がない人/施設
・古小代を投資目的や金銭に換算することしか考えていない人/施設
・古小代を個人の楽しみや倉庫内に留め、多くの方々へ公開しない人/施設


仮に私が死んだ後に上記のような人/施設へ渡るようなことがあれば、化けて出る所存です 笑



対象となる古小代コレクション


特に行方を気にしている作品をご紹介します。

また、日常雑器としての雲助、片口、壺なども所有していますが、
それらに関しては再び市場に出回るのも、それはそれで良いのかなと思っています。



白釉茶碗
中平窯のコレクション中、最も良い品です。


魚形皿
甘い焼きが、かえって味わい深いです。


黄小代梅鉢
珍しい形状の鉢です。宗教的意味あり…?


のぞき五客組向付
『古小代焼讃歌』掲載作品です。


風炉
『古小代焼讃歌』掲載作品です。


耳付水指
表と裏で釉の溶け方が違い、面白いです。


流し掛け大皿
東京国立博物館に同手の作品あり。裏に「牝小路」「小代」窯印あり。



コレクションが散ることについて


私は『古小代焼讃歌』という図録が好きです。
掲載されているコレクションは個人の蒐集品のようですが、残念ながら散ってしまいました。



これには複雑な感情を抱いていまして、
市場に出回ったことで『のぞき五客組向付』と『風炉』を手に入れることが出来ました。

これは個人的に喜ばしいことで、実物を手にした時の喜びはなんとも例えようがありません。

私が生まれる前に刊行された図録の掲載作品で、
幼少期から写真で眺めていた作品が目の前にあるのですから。

写真も大切ですが、実物を触れるということは、作陶する上でこれ以上ない勉強になります。



そして残念なことは、
この図録の掲載作品を一堂に会する機会が無くなったことです。
可能性は0ではありませんが、難しいでしょう。

それほど、本当に良いコレクションでした。

素晴らしい古小代が
投資目的の人の所へ行くかもしれませんし、
古小代への愛情の無い博物館へ行ってしまうかもしれません…。



過去の名品が人目に触れないことは悲しいことです。



さいごに


別件ですが、

藤田美術館
で生きている内に一度で良いので、古小代コレクションを展示していただきたいなぁと思いました。
まぁ、全国規模の名品を沢山所蔵されていますし、難しいでしょうけど…(^^;

大きな美術館ではありませんが、本当に素晴らしい美術館で感動しました。

この古小代の話は別として、大阪へ行く際は また展示を見に行きます(^^)



最近、今後の人生について考えたのですが、

『古小代の歴史や美術工芸品としての正当な評価』

を目指そうと決めました。

私自身が好きな焼き物を一生作ることは大前提で、その上でのもう一つの目標です。



私の作陶人生が終わる頃、

私から
「ぜひ古小代を寄贈したいです。」
ではなく

美術館や博物館から
「ぜひ古小代を寄贈してください。」
と言われるように。



古小代の良さ、分かっている範囲での正確な歴史を可能な限り発信していきます。



2023年7月25日(火) 西川智成

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