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種田山頭火

小代焼中平窯の西川です(^^)

今回は陶芸とは関係なく、自由律俳句の俳人・種田山頭火について書いていきます。

山頭火氏は山口県生まれですが、私のいる熊本県にも所縁のある人物です。


酒癖によって身を持ち崩してしまい、支持者の援助によって生計を立てていました。

熊本県内で有名なエピソードと言えば、熊本市内で泥酔して路面電車の前方に立ち塞がってこれを止め、市内にある報恩禅寺に預けられて寺男となった事件でしょう。

酒に溺れた原因は、山頭火氏11歳の頃の母の投身自殺にあるとされています。





中平窯の山頭火


小代焼中平窯の仕事場には、山頭火氏の句を版画にしたものが私が生まれる前から飾られています。

父が40年ほど前に購入したものであるとのこと。

幼少期から工房で作業をする度に、常に目に入っていました。



お手手こぼれるその一粒一粒をいただく



私が幼い頃は、この版画を「山の絵が描いてある。」と勘違いしていました。

これを山の絵と勘違いしていた場合、絵の中心に青みがありますので、これを渓流であると思っており、「一粒一粒」は水の一滴で、それを掬って飲む様子であるとずっと思っていました。

しかし、山頭火氏の句集を読むと、「一粒一粒」とは米のことであり、すなわちこの絵は一般の家々から米を分けてもらい、感謝して両手を合わせている様子だと、つい最近気が付きました。


中平窯工房に掛けてある山頭火の一句




山頭火句集



1年ほど前に山頭火氏の句集を購入し、寝る前に数ページずつ読んでいました。

この記事では、私が個人的に心に残った句を11句、ご紹介します。



分け入っても分け入っても青い山

※旅に出た際の一句。



すべつてころんで山がひつそり



うしろすがたのしぐれてゆくか

※熊本に落ち着こうとしたが、どうしても旅を止められなかった。



ゆふ空から柚子の一つをもらふ



ほととぎすあすはあの山こえて行かう



夕立が洗っていった茄子をもぐ



ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない



山から白い花を机に



濁れる水の流れつつ澄む



ついてくる犬よおまえも宿なしか



蝉しぐれの、飲むな飲むなと熊蝉さけぶ

※禁酒したいが。





2024年7月3日(水) 西川智成


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