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北大路魯山人氏 ~稀代の芸術家~

小代焼中平窯の西川です(^^)

今回は北大路魯山人氏について書いていきます。


昭和の陶芸家(芸術家)で魯山人氏ほど逸話の多い人物は
なかなか見当たりません。


一回だけではとても書ききれませんので、
今回はザックリと紹介するのみにとどめておきます。




魯山人氏の人となり


美食家、書道家、篆刻家、陶芸家、画家と様々な顔を持つ大芸術家です。


ただし、口が悪く
傲慢不遜、気位が異常に高い人物として知られ、
当時の芸術家や有名人に誰彼構わずに喧嘩を吹っ掛けていきます。

以前ご紹介した加藤唐九郎氏とは初対面で喧嘩になってしまったそうです。
(魯山人氏が亡くなった後に加藤氏が書いた文章を見ると、喧嘩をしたことはあるものの、魯山人氏への敬意が垣間見えます。)

魯山人は終生やきものには素人だったが、作品は技術ではなく最後には人間としての味わいがモノをいう。

世に「利休ごのみ」「織部ごのみ」といわれる世界を創り出した偉大な先人があったように、彼は「魯山人ごのみ」を演出するために作品を生み出したと言ってもいい。

昭和58年別冊太陽『北大路魯山人』より
「北大路魯山人の思い出」 ー加藤唐九郎


魯山人氏は非常に不幸な生い立ちであり、
母親の不倫によって生まれた子供でした。

父親は魯山人氏が生まれる前に自殺しています。

魯山人氏は生まれた直後に母親に捨てられ、家を転々とします。
そして転々とした家で不幸が続いたり、貧困の中でひどい虐待を受けることとなります。


このような生い立ちから、人一倍
「美味いものを食いたい、美しいものを見たい、世に認められたい」
という欲が強くなったのではないかと思われます。



6度の結婚は全て破綻し、家族愛という面では孤独な晩年であったそうです。

気が強い面ばかりが取り上げられる魯山人氏ですが、
『女の子と祖父が蝶々を追いかけている』暖かなラジオドラマを聞いては
「う」「う」と肩を震わせ、すすり上げて泣いていたとも言われています。



おススメ図録


足立美術館の図録です。

実は魯山人作品を足立美術館で拝見したいと思っているのですが、
仕事が忙しくてなかなか行けず…。


図録だけでもと思い、足立美術館に送っていただきました。


これが大正解でして、今まで見た魯山人氏関連の書籍では、
最も良いものでした。
陶芸作品を中心に、様々な器が掲載されています。


文章も大事ですが
『魯山人氏はどんな作品を作ったのか』
を、視覚的に理解してから文章を読むのが良い
かと思います。


図録『北大路魯山人』



おススメ文庫①


最初のおススメ文庫は
『魯山人味道』
です。

陶芸作品とはあまり関係なく、美食家としての魯山人氏を知ることができます。
陶芸の知識が無くとも楽しく読むことができるのではないかと思います。


ここに書かれた鮎の話がなんとも美味そうで、
毎年夏には鮎の塩焼きを食べるようにしています。


魯山人氏は自身の料理を盛りつけるのに、その当時の器では不足を感じ、
自身で器を作るようになります。

陶芸に関する文章より先に料理の文章を読むことで、
魯山人氏が辿った道を追体験できるのではないかと思います。



『魯山人味道』



おススメ文庫②


料理の次におススメは
『魯山人陶説』
です。

ここでは魯山人氏の作陶姿勢や、陶磁器に関する美意識を知ることができます。

『魯山人味道』と比べるとそこそこ毒舌ですが、
罵詈雑言を並べた他の文章と比べると、まだ落ち着いて読むことができます。

・九谷焼
・唐津焼
・備前焼
・志野焼
・織部焼
あたりについて、
なんとなくで良いのでビジュアルを知った上で読むと、文章の内容がイメージしやすいと思います。


魯山人氏の作品が掲載されている図録と組み合わせて読むことをおススメします。


『魯山人陶説』



魯山人氏とわたし


高校生の頃、存在を知ってはいたものの、意識することがなかった魯山人氏。

しかし、大人になってから書籍を読み返すことが増えました。
人間性の面では賛同が難しい面もありますが、作品、文章、経歴すべてが魅力的です。

調べれば調べるほど興味深い人物です。



まずは、何とか時間を作って足立美術館へ展示を見に行きたいと思っています。


今後も北大路魯山人氏については文章書く可能性があります。

どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします<(_ _)>



2023年7月22日(土) 西川智成


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