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クリスマスツリーがない

🌲クリスマスイブの夜に🌲
 クリスマスは幼い頃も大人になってもワクワクしたり、心静かな夜を楽しんだりとちょっと特別な日になります。

 今日は「クリスマスイブ」

 幼かった頃、我が家にはクリスマスツリーがありませんでした。
 クリスマスが近づき、近所を歩くと、それぞれの家の窓から、クリスマスツリーの明かりが漏れていました。
 ある家は窓際に、ある家は応接間に、ある家には庭に、キラキラ光るクリスマスツリーが輝いていました。

 どうして我が家になかったのか、親に聞いても教えてくれませんでした。きっと経済的なことだったと思います。

 そんな寂しいクリスマスを毎年過ごしていましたが、心は満たされていました。
 クリスマスの朝、目を覚ますと、必ずサンタクロースが私の枕元にプレゼントを置いてくれていたからです。

 「クリスマスツリーがなくても、サンタはちゃんときてくれた!」と毎年、喜んでいました。

 サンタクロースは煙突から入ってくるのに、我が家にはサンタクロースが入れる大きな煙突はありません。
 サンタクロースがどこから来るのか知りたくて、ある年のクリスマスイブの晩に「今夜は寝ないでサンタに会う!」と親に言ったこともありました。
 
 今夜、チキンとケーキを食べながら母が言うのです。

「あんたが幼い時、サンタが部屋にこれるようにと、襖を開けたまま寝てたよね」と。

もうすぐ95歳になろうとしている母にとっても、クリスマスの思い出は多いものなのです。

 我が家には相変わらず、クリスマスツリーは飾られませんでした。