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「発達障害の障害固定」という考え【ゆっくり発達障害者支援解説-その04】

そもそも、発達障害が法的に定められたのは、2011年(平成23年)の障害者基本法改正でした。

第2条で障害者基本法に定義する障害が「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。」

この改正で初めて発達障害が障害として法的に規定されました。その後発達障害者が幅広く障害福祉サービスを利用できるようになったのは、周知の事実です。
この規定は発達障害者としては画期的な話の反面、精神障害に含まれたことで障害(の症状)が固定されない、と見なされたと思っています。

発達障害は先天性の障害かどうか。

ゆっくり発達障害者支援解説-その01で、

発達障害は【先天性の障害】【生まれつきの障害】というのが一般的です。例えば環境の問題やその他の原因など、現在は諸説ありますが、知る限り先天性の障害を覆す説は存在しません。

と書きました。
発達障害が先天性(生まれつき)か後天性(生まれた後)かは現時点でも結論は出ていませんが、先天性だとすると精神障害(青年期から発症と考えたら後天性?)とは同じカテゴリには入りづらい話になります。

なぜ発達障害の障害固定という考えをしたのか?

現在発達障害者向けのグッズとして、聴覚過敏対策のイヤーマフ、デジタル耳栓、視覚過敏対策のサングラス、意思伝達装置や紛失防止グッズなど様々なものがありますが、
例えば身体障害者のような補装具は、発達障害者には法的に定められていません。

ワムネット補装具解説

発達障害者の過敏対策は、自らの自腹で揃えなければいけない現実があります。
収入の差によって、確実に生活の質に差が出る現実が今あります。
発達障害の障害固定の概念は、聴覚過敏が障害認定されれば、その障害に応じた補装具を使えるようにするために、不可欠だと私は考えています。

発達障害は改善される、と思われる方に対して

その考えは正しいかもしれません。ただその分障害がある本人自身がこの瞬間努力・我慢をすることになります。
今の生活づらさを改善する方法(補装具などあらゆるグッズ)があるのであれば、その方法が選択できる方が最良ではないでしょうか。

現在の発達障害の診断基準

発達障害者支援法では、ICD-10に基づいて発達障害を定義しています。

発達障害はF80、F90で主に規定されています。
その他アメリカ精神医学会の「DSM-5」があります。

ただ、過敏症まで定義されてはいないようです。

発達障害の基本的な診断方法は脳波検査や心理検査(WAIS)、各種チェックリストなどです。
これに、聴覚過敏や学習障害、緘黙症など様々な発達障害の症状に対しての診断基準があれば、その診断に応じた支援や補装具・自助具が利用できると思うんですけどね。

発達障害が障害固定されない、となると、結局障害が確定されないので必要なサービスも利用できたり利用できなかったりする事態が起きるんじゃないでしょうか。

まとめ

発達障害者は軽度の障害と見なされ、障害者本人が努力をして、我慢をして社会で生きていることが多いです。
軽度と診断されたから、生きづらさは何も改善しません。生きづらさを改善できるよう、制度と社会保障が充実してほしいです。そんなアクションを発達障害者は団結して取り組みたいですね。


皆様にわかりやすく、また理解していただけるような内容を目指します。サポートして頂けると幸いです。