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落ち続ける地獄の試験【第7話】

入社して初めての休日はあっという間に過ぎ去り、憂鬱な月曜日の朝がやってきた。
「タララタララタララッタタ♪」
iPhoneの目覚ましで目を覚ました。
時刻は7時20分、6時20分に合わせたつもりだったのに間違えていたのだ。
研修開始時刻は8時40分で研修会場まではおよそ1時間かかる。
大急ぎで顔を洗い、スーツに着替えて家を飛び出した。
髪の毛はボサボサ、歯磨きは出来なかった。
研修会場には開始3分前になんとか着いたが、もちろん同期で一番遅かった。
よりによって今日の午前中は“身だしなみマナー研修”
外部講師の方が来て一人ずつの身だしなみをチェックされる。
だんだん自分の番が近づいて来る。
講師:「次、無能くん」
立ち上がると講師の先生が足元からチェックを初め、だんだん上に目線が上がって来る。
講師:「髪の毛ハネすぎ、ちゃんと直した?」
無能:「すみません、寝坊して直す暇もなく家を飛び出しました。」
周りのみんなが笑う。
身だしなみ不合格者は40人程の中で3人。無能を含めた3人は明日もう一度チェックするそうだ。
その後、名刺の渡し方やお辞儀の仕方などマナーの基礎を午前中はみっちり学んだ。
昼休憩を挟み、午後最初はこの1週間の復習テスト。
このテストのやり方がとにかくイヤらしい。
100点満点なのだが、⚪︎⚪︎点以上で合格などではなく半分が落とされる仕組みなのだ。
無能の点数は66点。
勉強していない割には上出来で、合格かと思ったがしっかり落とされた。
合格者は別室に移り次の研修を受ける。
不合格者はすぐに2回目の試験問題が配られる。2回目の点数はハッキリ覚えていないのだが、これも見事に落ちた。
ここまで40人→20人→10人と人数が減って来た。
この試験、計算問題などがある訳でもなく、先週の研修内容を暗記さえしていれば難なくできるが、やってない人にはめちゃくちゃ難しい。
ここまで残った無能含める10人は何もやってないからこうなっているに違いない。
3回目の試験が始まった。
ここでも無能は当然のように不合格で残り5人となった。
そろそろ終わりかな?
一瞬そう思ったのだが、躊躇なく4回目の試験問題が配られる。
結果は落ちた.....
ここでもまた落ちてしまった.....
ついに最初の40人から20人→10人→5人→2人になった。
次の5回目で落ちた時のことを考えると冷や汗が止まらない。
しかし、5回目の試験は無かった。
流石に1人だけの最下位を決める事は無かった。
それでもこんなイジメみたいな事をして何が楽しいのか無能には分からない。
人事の方が言った。
人事:「今の時代は年功序列ではなく競争社会。結果を出せば出世も早いが、結果を出せない人はいつまで経っても上には上がれない、何もしないで給料が右肩上がりに増えるとは思ってほしくない」そう言われた。
そして立て続けに
「今日やった試験は暗記していれば誰でも満点が取れる。頭がいい、悪いなど全く関係ない。やったかやってないか、ただそれだけ。休日は休む事も大事だが自己研鑽もするように」
無能「分かりました。これからがんばります」
その後はまた、全体研修を受け、今日も無事に仕事が終わりを迎えた。まだ月曜日、明日からも憂鬱だ。
-つづく-

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