vs起立性調節障害.vsストレス・・・心理戦略の基盤を築く!(全文読めます)
はじめに
POTSを含む起立性調節障害は、
遺伝や生活習慣の乱れ、精神的な疲労や急激な身体の成長への不適応、また内科的疾患の関与など様々なことが複雑に絡み合っていると考えらています。
そのため、改善には多面的なアプローチが必要になります。
国際的なコンセンサス会議では、
水分や塩分の摂取をはじめ、生活習慣の改善、運動の重要性を説くのと同時に、心理的なサポートの重要性についても述べられています。
そしてここには、生物学的な行動戦略や認知行動療法が含まれており、起立性調節障害における心理療法、認知行動療法の有効性が示されています。
心理療法と聞くと少し抵抗を覚えてしまう方もいるでしょう。
私もそうでした。
散々メンタルの問題だと言われてきた私達にとっては、心理療法を受けるとそれを認めたような気になってしまうため、抵抗感を抱くのだと思います。
しかし、起立性調節障害を発症した原因にメンタル的な影響は少なかったとしても、病気を患い、体調を崩して、思うような日々を過ごせなくなったことで、メンタル的にしんどくなり、それが(脳の扁桃体を介して)自律神経に影響を与え、症状が悪化していく。といった流れは十分に考えられます。
仮に今全く心理的な苦痛はないという人がいても、これからの長い人生で、上手くいかず精神的に疲れる状況はあるでしょう。
認知行動療法とは
そこで、役に立つのが認知行動療法です。
認知行動療法は科学的に効果が認められたもので、方法・手順が確立されており、スポーツ選手などもパフォーマンス向上のために取り入れたりしているものです。
認知行動療法をざっくり説明すると、
私達は起きた現象や事実に対して、独自の解釈をしている訳ですが、その解釈の仕方次第で気分や行動が変わるよね。
つまり、同じ状況に置かれても、悪い解釈をすれば、気分も下がり、行動やパフォーマンスが下がるよね。(その逆も然り)
そして、この独自の解釈の仕方にはあなたの幼少期に形成された思考の習慣みたいなものが影響していて、無自覚のうちになされているから、なかなか気付けないよね、、、
そこで、認知行動療法によって歪んだ認知や解釈に気付き、適切な認知や解釈に変えていこう。
みたいなものです。
(全然分かりやすくない気がしますが、、また良い表現を考えるとします。)
例えば、
例①
雰囲気のあるレストランに大好物のカレーがあり、それをかき込むように食べていたとしましょう。
カレーを夢中に食べていましたが、ふと顔を上げると斜め前に座っていた見知らぬ人がこっちを見て少し笑ったとします。
この時にあなたはどう解釈しますか?
a.こんな雰囲気のいいレストランでカレーを食べる?変なの!と思われたんじゃないか?
a'.口に何か付いているんじゃないか、それを見て笑っているのでは?
みたいに「笑われている」というふうな思考が自動的にふってくる人もいるでしょう。
一方で、
b.美味しいカレーをご機嫌に食べている私をみて「微笑みかけてくれたんだ」
と解釈することもできるでしょう。
(人は本物の笑顔とそうでない笑顔を見分けられる。みたいな話は置いておいて)
ここでの客観的な事実は
カレーを食べている私は、斜め前に座って微笑んでいる知らない人と目が合った。
というだけで、
その人がなぜ微笑んでいるのかは分かりません。
a.a'.b.どれも勝手な解釈です。
例②
何かミスをしてしまい先輩や先生に注意されたとしましょう。
ここでの認知や解釈として
a.ミスをしたのは事実だから、受け入れて、同じミスがないように対策を考えよう🥸
b.もう信頼を失ってしまった😔
c.これぐらいのミスで注意してくるなんて、うざい😤
d.忙しいんだからちょっとくらい仕方ない🫠
などの解釈ができるかと思います。
これらが私達は客観的な状況や事実に対して勝手な解釈をし、その解釈によって感情や気分、行動に影響が及ぼされる例です。
とりあえず、
認知の影響や重要性を理解して頂ければ幸いです。
心理テクや認知行動療法を学び実践する前に。
今後、様々な心理療法やストレスコーピング、認知行動療法を紹介していくつもりですが、
今回はその中でも私が特に重要で、はじめに押さえておくべきだと考える概念を紹介します。
それは〈自己認識〉と〈科学者マインドセット〉です。
そしてこの2つは密接に関連しているように思います。
科学者マインドセット/実験的思考/TRY&ERROR
心理療法やストレスコーピングなどの心理テクニック、認知行動療法はかなりの種類が存在します。
そこで重要になるのが科学者マインドセットです。実験的思考やTRY&ERRORの考え方とも言い換えられるでしょう。
《仮説を立て、ただ試し、得られた結果を客観的に分析し、修正を加える。》
これを繰り返します。一生繰り返します。
注意すべきは、唯一の解決策を追い求めることです⚠️
誰に対しても、いつでも、効果的な万能薬や魔法の解決策がないことには薄々気付いていることでしょう。
私も一時期はそれを追い求めていましたが、どんな方法にも弱点がありました。
その時は、これもダメか、これでもダメなのか、どれが正解なんだ?と一喜一憂していました。
これではしんどいですよね。
出口のない迷路で必死になって出口を探しているようなものです。そんな迷路には挑みたくない。
万能な解決策が存在すればと願う一方で、学べば学ぶほど、それが無いこと気付きます。
冷静に考えれば、病気が発症する原因や何にストレスを感じるかは個人間で違いますし、
個人を取り巻く環境(人間関係などの社会的な環境や季節変動や天候などの物理的な環境)ですら日々、瞬間瞬間で変わっていきます。
よって、
誰かにとって効果的でも私には効果がない。
や、
この戦略は今の自分には効果がない、でも数日後の自分には効果的な戦略になった。
みたいなことはよくあるわけです。
ここで実験的な思考を身に付けると、仮にうまくいかなかったとしても、それも単なるデータの1つにしか過ぎないため、いちいち憂鬱になる必要はありません。
実際、この科学者マインドセットを意識することで思考力が向上するなどのメリットが得られることが分かっています。
結局のところ、唯一絶対な心理療法などのテクニックは存在しないのだから、
色々な武器、戦略を備えておき、今の自分の状況や環境に適した武器を取り出せるようにしておくことが必要というわけです。
質より量が重要ということですね。
その為には色々な方法を学び、自分で使ってみる、そして結果を客観的に評価し、修正する。
こうして科学的なものを基盤にし、自己流の戦略を確立していくことが重要になります。
これが科学者マインドセット、実験思考、TRY&ERRORの思考です。
自己認識
そして今の自分の状況や環境に適した武器や戦略を取り出すには、自分の状況や環境を正しく理解しておく必要があります。
これが「自己認識」(の一部分)です。
以前の記事で孫子の兵法の一節を引用し、その重要性を述べた「自己認識」ですが、この概念は想像以上に複雑で難しいものです。
私自身、未だに完全に理解したと言い切る自信はありませんし、完全に自己認識しているとも言い切れません。
(これについて学んでいると、おそらく断言できる日は来ないし、来るべきでもないような気がします。)
しかし、自己認識について学び考えることによるメリットはかなり大きいと感じます。
自己認識を深めるには自分と向き合う必要がある為、少々疲れることもありますが、その分リターンも相当大きいです。
実際に自己認識が出来ている人(自分がどういう人間なのかを知っている人)は
《 精神的に健康な状態であることが多く、自分の弱みも理解し受け入れており、ストレスにも強く、生産性やパフォーマンスが高い。》
ということが研究により分かっています。
これは自分の思考や行動がブレることが少なくなることで一貫した行動を取るようになったり、強みと弱みを理解し受け入れた上で、準備や行動戦略を立てられることで生産性も高まる。
みたいな流れかと思います。
たとえば、
自分はスピーチやプレゼンの時に緊張して頭が真っ白になるから、徹底的に流れを準備し、考えられる質問と返答を用意しておこう。
などといったように、弱みを受け入れた上で具体的な行動戦略を立てられます。
自己認識における悲しい現実
自己認識に関する研究をされている組織心理学者によると、
自分のことぐらいきちんと理解している、自己認識はできている。そう思っている人ほど、自己認識のレベルが低かった(周りからみた他者評価と自己評価の間に大きなギャップがあった)そうです。
また95%の人は自分は自己認識ができていると思っているが、実際に自己認識できているのは10~15%程度だったそうです。
ほとんどの人が自分は平均以上だと思い込むレイク・ウォビゴン効果(平均以上効果)は有名ですね。
ここで、皆さんに少し考えてみてほしいのは、
自分の人生において情熱を捧げているものはなにか?
自分の人生における重要な価値観はなにか?
自分の能力が最大限に発揮される環境や自分がもっとも幸福感を感じる環境はどんなか?
自分がある特定の感情(楽しい、悲しい、不安など)を感じる時にはその背景に共通してあるものは何があるか?
自分の言動が周囲にどのような影響を与えているのか?
こういった問いにスパスパと答えられる、自分なりの明確なアンサーを持っている人は少ないかと思います。
(私も未だにうーん🤔ってなります。)
上記のような質問に答えるのは自己認識を深める一つの方法です。
自分が人生において何を大切にしていて、何を望み、何に情熱を捧げてきたか。自分の強みは何で、弱みはなにか。強みを活かし、弱みをカバーすることのできる環境はどんなか。
こういったことを自分で認識できたとき、無駄な迷いや悩み、不安や虚無感が軽減されることは想像できるかと思います。
これらは自己認識の構成要素の一部で、ここで全てを説明するのは不可能に近いため、また今後取り扱っていければと思います。
まとめと今後
今回は心理療法やストレスコーピング、認知行動療法を取り入れるべきだと考える背景やこれらを学び実践するに当たって押さえておくべき思考法やマインドセットなど、概念的な話をしてきました。
次回からは、
私が実践してよかったもの(実践のしやすさや効果を考慮して)を中心に、より具体的な方法を紹介していけたらと考えています。
そしてそれを実験的な思考で、自分に合うか試し、結果を分析し、自己流にアレンジしながら独自の戦略を確立していって頂けるといいかなと思います。
それでは、引き続きよろしくお願いします。
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