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個の話を普遍的なテーマへ開くにはどうしたらいいのか?【エッセイ】

『開かれた文章はどうしたら書けるか』

これははつかさんから頂いた文章相談の言葉で、収録時にどの意味合いでこの言葉が使われたかはっきりせず明確に答えられずにいたものだ。しかし、番組公開後、はつかさんご本人よりしっかりと明言化されましたので、この場でお答えしたいと思う。

個を語りながら一般化する文章?というか、自分のことを書きながら読者を引き込むためには、という意図で『開く』と表現したんだと思います。

難しいお題が来ましたね。
『個の話を普遍的なテーマへ開くにはどうしたらいいのか?』という話。

さて、この質問が出るということは、現時点で既にはつかさんはミクロ的な個の話を書くうち(または読むうち)に普遍的なテーマに行き着く体験をされているだろうことが分かる。おそらく彼女は、個の話で小さく終わってしまう場合と、普遍的なテーマに大きく開かれてゆく場合、この二つ現象には何かの差があるはずなんだけど、具体的にそれがどういう差で起こっているのか?それをご自身の中で言葉にできていないのでしょう。

既にはつかさんご自身の言葉の中に答えはあるのですが、良い機会ですから私の言葉で語りますね。

結論的には、それは『自分の話をするか』と『個の話をするか』の違いです。この二つは似た感じの意味のように感じられるかもしれないけれども、辿り着く結果には大きな差が出てくる。

これは本当だ。

残念な話だが、自分の話だけをしていても、その先には決して普遍的なテーマには開かれる未来はない。結果として誰も聞いてくれない世界におちいる。

でも、ミクロ的な個の話はいずれ普遍的なテーマに展開される可能性を含んでいる。結果として語るあなたは誰かが耳を傾けてくれる世界に足を踏み入れることになるでしょう。

え、ちょっと待って。
世の中には自分の話をしているだけなのに読まれている方、人気のある方がいるじゃないか?そう思われるかもしれない。
でも、そういったケースもよくよくひも解いてゆくと自分を通じて、それぞれが皆、小さいながらも普遍的なテーマに通じる個を表現しているのだと気が付くと思う。

例をあげる。

『私の話を聞いて!こうこうこういうことがあって、ひどい目にあったんだ。世の中間違っているでしょ。だって、こうであるべきでしょ。理由はこうこうこうだからである。あー、まだ腹が立つ。まだ気持ちが収まらないから、あと1時間この話に付き合って。』
これが自分の話をする人の頭の中身だ。
例えばこれをnoteで毎日更新してたりすると1年後にはもれなく一人ぼっちになる。

これだと世界は拡がらない。

自分だけの話から、個の話に転換しなければならない。

『私の話を聞いて!こうこうこういうことがあってひどい目にあった。こんなことってある?嫌になるよね。でも一つのケースとして聞いてほしいんだけど、私はこうだと思うんだよね。だからさ、また同じことが起こったらこうやって対応してやろうと思ってるんだ。』
するとイメージが随分と変わってくる。

自分の話なんだけど、一つのテストケースに変換してあげることで、数多ある世の中のエピソードの中の一つになっている。まず、自分の胸の内を打ち明ける。それからさらにその先を見据えた形になっている。ビジョンを持った物語になっているのだ。

今の例はただの愚痴レベルから昇華の話だがこれを突き詰めてゆくと趣きが変わってくる。薄皮をめくるように徐々に徐々に洗練されてくると、その物語がその人の生きる姿として描かれるまで昇華されるようになる。すると次のフェーズに移る。

物語は伝搬し、普遍的なテーマに行き着くのだ。
こうなると誰かが耳を傾けてくれるようになる。

もう一度言う。
個の話は、小さいながらも普遍的なテーマに開かれてゆく可能性を含んでいる。
逆に自分だけの話は自分の中だけで完結されてゆくのでその世界の中で収束されてゆく。

とまあ、このような結果になる。


普遍的な話にどうも展開されていないなと思ったら、ぜひ一度チェックしてみてほしい。憂さ晴らしのような自分だけの話をしていないかということに。


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さいごに、はつかさんの作品紹介する。

この作品ははつかさんの作品で、見事に普遍的なテーマに展開されている。
cakesコンテスト2020で佳作を受賞したことも頷ける素晴らしいお話だった。

タイトルで『私が救われた』となっているが、この物語を読んで救われる人はきっとたくさんいる。だから、これははつかさん個人の話をしてように見えて、その実、個の話をしているということになるわけだ。結果、みんなが耳を傾けてくれる文章になっている。

あらためておめでとう。

#エッセイ  
#ライティング  
#note
#ブリリアントブルー


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