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300円雑記【水のような言葉】

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2019年3月の記事一覧

平成と揚げパン【エッセイ】

平成と揚げパン【エッセイ】

揚げパンって今でも給食の献立であるのかな。コッペパンを油で揚げて砂糖をまぶしてあるやつ。

古い記憶、名前も思い出せないんだけれども当時揚げパンが大好きだった校長先生がいたことを私は覚えている。校長先生っていう立場だから全校朝礼では生徒に向かって長めの講釈をたれるわけなんだけど、彼には昔話をし始めると途端に道徳的な話から脱線するクセがあった。

例えばさ『戦時下では畑から芋を盗んで飢えをしのいだ』

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他人とは思えないんだ【エッセイ】

他人とは思えないんだ【エッセイ】

実の親といえどもさ、別個の人間であるからどうしても考え方の違いってのは出てくる。むしろ親子といえどもそれは違うんだと認識してからが人生と言えるかもしれないな。親と自分は究極のところ他人なんだよね。

小噺程度に聞いてもらいたんだけど、そういった事に気付いてからはさ、ちょっと真理に近付いたみたいな気になって調子に乗ったことがある。

『親子といえども別人だから考えが違って当たり前だよ』なんてな、知っ

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ねこ【小説】

ねこ【小説】

「100万回生きたねこって知ってる?」
古びた喫茶店で彼女は一つの絵本を話題に話を振ってきた。

あぁ知ってるよ。何回も生き返るねこの話だ。ある時は王様のねこだったし、ある時は泥棒のねこだった。ずっと誰かのねこだったし、いつも可哀相な死に方をしてはその都度時代を変え何度も生き返った。そんな話さ。

「でも最後は生き返らなくなるのよね。」

あぁそうだな。最後は誰のねこでもない野良猫になるんだっけ。

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金魚に餌やらんとアカンから帰るわ

金魚に餌やらんとアカンから帰るわ

何のことか分からないかと思いますがコレは関西地方に伝わる飲み会の断り方です。

今では使う人はとんと見なくなりましたが、私なんかは未だに使うことがあります。

ここで言う金魚とは妻のことを指し示します。なんといいますか、『妻が家で待ってるから今日はお酒の誘いをお断りします』というのは受け答えとしてはバカ正直過ぎるんですね。でも妻を金魚に見立てて「金魚に餌やらんとアカンから帰りますねん」と答えればな

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視力検査が理解できない3歳半の子供の為に動画をつくったんだ

視力検査が理解できない3歳半の子供の為に動画をつくったんだ

ウチのかわいい息子の話なんですが言葉の発達がちょっと遅くてですね、三歳半の検診で視力検査に引っ掛かってしまいました。

言葉が視力に何の関係あるのかと訝しむ方もいらっしゃるかと思うんですが、それがですね、目が見えている見えていない以前に視力検査の内容があまり理解できていないんですね。右も左も多分よく分かっていないし、あのCの文字(ランドルト環)を見せて、『開いている向きはどっち?』と聞いてもいまい

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