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めらんこりー (No.0)

過去作品です
とある雑誌社さんの企画で
イラストレーターさんが描いた絵にお話を作るというコラボ企画で寄稿したものです
残念ながらイラストは載せれませんが、お話だけでも楽しんでいただけたらと思います。

今日の空は、少女には静かすぎた
空虚なひとりぼっちは今日も又、物思いに耽るのでしょう



たまァにこんな事を考えたりする。
「私って孤独だなァ」

私はおもむろに1本の煙草を手に取りだした。
別に吸いたいからってわけじゃない。
でも、なんとなく。

火をつけ、フーっと吐き出し消えていく煙を見ながら勝手に口が開く。

「どうして空は青いンだろう」
「どうして雲はもくもくしてるンだろう」
「どうして鳥は飛ぶンだろう」
「どうして人間は歩くンだろう」
「死って…なンだろう」

唐突な“なンだろう”をついついめぐらす。

結果論からいうと、空が青いのはそもそも青いんじゃなくて、青い光が散らされてるから。
雲がわたあめだったら可愛くていいのにって思うけど、ただの水蒸気。
鳥が飛ぶのも、人間が歩くのも、習性であって体のメカニズム。

死は…わかんないッ。


そんな戯言が胸中で去来するなか、でも私が一番知りたい事は全く違う事。

明日が見たくて空を見上げた
でも、その先に何も見えなかった。

自分が見たくて大地を見た
でも、その先に何も見えなかった。

見えるのは、何の混じりけもない青々しく光る空と、何の迷いもない真っすぐに伸びる飛行機雲。
そして、ひとりぼっちの影だけ。


そこから私が見えますか?
そこから私はどんな風に見えますか?

愚かですか?
寂しそうですか?
哀れですか?

私は何がしたいンだろう。
私は何も求めているンだろう。

どんなに問いかけても、息づかいのような不快な風で心が憂鬱に乾くだけ。


私は何のために生まれ、何をするためにここまできたンだろう。

私はただ、呆然と。漠然と。
ふらふら。ふわふわ。
そうやって生きてきた。

人は独りでは生きてけないっていうけど、
私のことを相手してくる人が存在しなければ、それは独り同然だ。

なんて寂しい生き物なんだろう。
孤独には慣れたはずなのに…

涙をこらえて、自分の存在に自信をなくしてることに気が付いた。


どうやら私は心に気の滅入る虫を飼っているようだ。
なんて名前なンだろう。


この際、なんて名前の虫でもいい。誰でもいい。
私を見て。
私を褒めて。
独りじゃないよって優しくキスをして。


悲しみに同情したように涙雨が頬を濡らした。あとはとめどなく。
私にはこの涙雨を止める術を知らない。

だから、
「明日は晴れたらいいなァ…」
そう言うしかなかった。



今日の空は、少女には眩しすぎた
孤独なひとりぼっちは今日も又、寂しさをただ受け入れるしかないのでしょう

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